17.お弁当と夕立
男とTSっ娘、それぞれの認識の違いを意識しました。
その対比を楽しんで下さい。
R-15な表現があります
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デート用の服に着替える、今回は自然公園でお弁当だから爽やかなイメージで誂えてみた。
それと履き慣れていない低いヒール付きのパンプスも用意した。
髪型も基本ストレートのままでワンポイントで編み込んである。
うーんすっかり女の子してるぞこれは…。
お弁当はなんとか間に合った、片付けるだけの時間は残っていなかったので帰ってから片付けよう。
ピンポーンとチャイムがなり、亮が迎えにきた。
リュックにお弁当を入れていざ!
――――――――――
お昼は自然公園で食べる事を提案して、お弁当を作ってきた事を伝えると亮は心底驚いていた。
確かにまだまだ未熟で家では料理をまともに作らせてもらってないけど、そんなに嫌か。
「―――嫌…かな…」
「んな訳ないだろ!塁のお弁当を食べないなんて選択肢、俺にはない!喜んで食べさせていただきます!」
どうやら違ったみたいで一安心する。
「今朝にね、頑張って作ってみたんだ、一応全部手作りなんだけど」
喜んで欲しくて、”手作り”を強調したつもりだったけど伝わっただろうか。
自然公園でお弁当を広げると、亮は食い入るようにお弁当を見ている、正直見た目は良くないのであんまり見られると大分恥ずかしいんだけど。
「亮にね、折角のデートだから、喜んで欲しくて、ここなら多少味がイマイチでも美味しく食べられるかなって」
自然公園というシチュエーションがあれば多少の味は誤魔化せると思う。
と思っていたら亮が何故か涙を零していた、どういう事だ?もしかして嬉し泣き?
「おいおいー、まだ食べてもいないのに何嬉し泣きしてんだよー、恥ずかしい奴め」
からかってみたら本当に嬉し泣きだったようで、食べる前から嬉しくさせるなよ。
早く食べてもらおうと勧めたら、何から食べて欲しいか聞いてきたので、味が大丈夫そうなおにぎりを勧めた。
手で直接握ったものでも食べてくれるみたいで安心した、マヤさんの教えかも知れない。
「めちゃくちゃ美味い!塁が握ったから愛情が沢山詰まってるのかな」
「ばっ馬鹿、そりゃあ、多少は入ってるかもだけどな…」
愛情って!そりゃ喜んで欲しくて作ったけどさあ、まあそれも愛情の一つかも知れないかと納得した。
「見た目はともかく、これ全部めちゃくちゃ美味いよ!こんなの生まれて始めて食べたかも知れない」
「それは言い過ぎだろ、流石にマヤさんとは比較にすらなってねーよ、でもありがとう、嬉しいよ」
褒められるのは素直に嬉しい、比較対象がマヤさんだから中々自信をもてなかったけど、一通り食べて貰っての感想だから嘘ではないのだろうと思う。
"サプライズどっきりお弁当作戦"は大成功みたいだ。
すごく報われる気がする、この1週間近く、亮や友達になったばかりのとさかトリオとも遊ばずにがんばって特訓したかいがあった、亮はとても喜んでくれているし、凄く嬉しい、そんな事を考えていると涙が溢れてきた。
「塁だって嬉し泣きしてるじゃないか、恥ずかしい奴めー」
「うるさい、お前にこの感動は分かるまい」
「それさっきの俺のセリフだろ、パクんなよ」
そう言ってお互いに笑いあった、幸せだった。
ずっとこのまま幸せな時間が続けばいいのにと思ってしまうほどに。
「俺ばっかりじゃなくて塁もちゃんと食べろよ、2人分なんだろこれ」
言われて自分のお弁当でもあった事を思い出す、なんだかすでにお腹一杯な気分なんだけど、食べますかね。
食後、なんでお弁当を作ろうと思ったのか聞かれたのでマヤさんの提案である事を伝え、その件で、色々不安にさせた事を知った。
確かにそこまで考えてなかったなー、自分の事で頭が一杯だったし、次からは気をつけるとするか。
「塁」
急にマジな声と顔で言ってくる。少し身構えたが軽く促した。
「んー?」
「キスしたい、ダメかな?」
キスはダメだ、感情が高ぶっている事も分かるがそれはそれだ。
オレたちはまだ付き合ってもいない。
「―――ダメだ」
努めて冷静に、きっぱりと断った。
頼む、これで引いてくれ、オレだって感情が高ぶっていて、もう一押しで許してしまいそうになってるんだ。
オレはただ、お弁当を作って亮が喜んでくれて、楽しくしたいだけだったんだ、関係を進めたくてした訳じゃない、それ以上は求めてない。そのはずだ。
「そっか、じゃあしょうが無い、一休みしたら行こうか」
あっさりと。
素直に喜ぶべき事なのに、オレは安堵と同時に物足りなさを感じていた事に気付いてしまった。
その後はスカートが捲れ上がり、亮に大サービスをしてしまった。
一瞬のつもりだったけど、しっかり見られてしまったようでデザートかと言われてしまった。
亮のマジな目が少し怖かったんだけど。
しかし一応は見られてもいいような下着だったのでまだ良かった。
帰りはいつも通り、恋人繋ぎで帰路についた。
――――――――――
家まで後数分という所で猛烈な夕立に会ってしまった。
一瞬で服がずぶ濡れになってしまい、一旦雨宿りなどと考えていたら
「コレ被ってろ!」
どうやらブラウスが濡れてブラが透けていたようだ、慌ててジャケットを被り、ブラの部分も隠す。
こういう所の気遣いが亮らしいというか、いつもおっぱいばかり見ているからではないと信じたい。
出来るだけ急いで戻った、慣れないパンプスだったので転けそうなところは亮が支えてくれて助かった。
自宅に上がり、急いで脱衣所へ、どうせ1人なんだから替えの服なんて裸で取りに行けば問題無い。
服がぴっちり肌について意外と脱ぎにくい、手間が掛かっているとチャイムが鳴る、今は応答出来ないので無視、すると入ってきたのか、玄関から声が。
「おーい、塁ー、お邪魔するぞー」
亮だ、自宅に戻ったんじゃなかったっけ?なんか忘れ物か?
ブラウスを脱いでる最中だったので適当に返事する。
ブラを外して、ショーツに手を掛けた時にそれは起きた。
脱衣所の扉が開き、亮が入ってきたのだ!
お互いが完全に固まった。
え?え?どういう事?亮は家に戻ったんじゃ???
てかなんで脱衣所に来る?普通着替えてるとか思わない?
え?いや?なんで亮が??覗き??
と思考が何周かしてから気付いた、オレ今裸だ!
慌ててうずくまり、胸を隠した。
声を発しようと思ったが声にならなかった。
「ご、ごめん!てっきりリビングにいると勘違いしてた」
「ば!ばっかやろー!だからって脱衣所くるか普通!?」
「いや濡れたままで歩き回れないだろ」
まだ頭が冷静になれていない、リビング?なんで?
―――少し冷静になって、気付く、確かに濡れたままで歩き回られても困る
そして亮のほうを見ると、オレの体をガン見していた。
心なしか勃起もしてる、ような、気が―――
オレは見てはいけないモノ、気付いてはいけないモノに気付いてしまった、一瞬で体から危険信号が発令される。
犯される!!
相手が誰であるかなど関係無い、体がそう判断してしまった。
「そこにバスタオル有るから!それもってそこで体拭いてろ!」
「え?ここで?いいのか?」
「違う!扉の前でだ!馬鹿!」
少し語気を強めたが去勢だった。
怖い、このまま襲われたらきっと抵抗できない、そんな心の準備は全く出来ていない。
特に亮がオレの後ろを通ってバスタオルを取る所なんかは怖くて目をギュっと閉じて通り過ぎるのをひたすら待った、全身がこわばっている。
「ごめんな、本当に覗くつもりじゃなかったんだ」
「いいから早くいけ!アホ!」
無事に脱衣所から出てくれてホッと安堵する、キスを求められた時とは違い、心の底から、流石にそこまでの覚悟はまだ無いようだ。
脱衣所の前で亮が服を脱いでいる音が聞こえる、まだ怖くて動けない、多分そこに居る限りは無理だろう。いつ裸のまま入ってくるか、なんて考えてしまう。
「塁ー?脱いだ服どうしたらいいー?後なんか着るもの貸してくれ」
そういえば、オレも着替えは持ってきてないのだった、このままだと裸で2Fの自室まで行かなくては行けない、それは無理だ。
考えたけど自分で動くことは敵わないのでもう亮に頼むしかない、という結論になった。
今ここで亮に怯えているのに亮に頼るなんて、なんて滑稽な事なんだ、泥棒に留守を任せるようなものじゃないか。
―――いや、違う、亮はそんな事しない、オレを裏切らないはずだ、無理やりやろうと思えばさっき、今だって出来るはずだ。勝手に信用しなくなったオレが悪いのだ。亮を信じよう。
亮にオレの着替えのお願いと亮への服貸出を許可した、大分恥ずかしかった。
2Fに上がったのを音で確認し、脱衣所の扉を開け、亮の衣服を回収した、ショーツを脱いでオレの服と一緒に乾燥させる。
とっとと浴室に入ってシャワーを浴びるとしよう。
シャワーを浴びつつ、今亮がやっている事を想像する、全裸の男がオレのタンスを漁っているのか…、相当変態度が高い犯罪じゃないか。
自分の下着を見られる恥ずかしさより、その姿の可笑しさが上回って思わず吹き出してしまう。
それに亮は下着に興味がないと言っていたし、大丈夫だろう、信じよう。
少し経って脱衣所に誰か入ってくる気配が、体がこわばるが多分亮だろう、時間的にオレの下着で変なことはしてなさそうだ。
亮に着替えを置いておくよう指示し、覗かないように釘を差した。
そうだ…亮はそんなやつじゃない、今だってそうだ、入ってくれば簡単に襲える、オレは亮を信じないと…。
ドライヤーで髪を乾かし、リビングに向かった、ブラは着けてない。
下着に興味は無いらしいしな…いやいや、オレは亮にどうして欲しいんだ。
「お待たせ、服が乾くにはもう少し時間がかかると思うけど。」
「一応謝っとくよ、脱衣所入っちゃってゴメン、実は鍵を忘れてて、しかも家にも誰もいなくて困ってたんだ」
「一応かよ、まあオレもちゃんと言わなかったのは悪かったかも知れないけどさ、でも鍵は常に持ち歩いとけよな」
そんな理由だったのか、亮らしいといえば亮らしいか、確かに休日に誰もいないのは珍しいかもしれない。
亮が太ももをチラチラと見るので今の格好を伝えてサービスだと言ってやった。
「俺もトランクスだけで下には何も履いてないけど別にいいよな?塁も前はこんな格好だったし」
確かにそうだ、ていうか今でも寝る時はそうだ。
亮のトランクスをよく見ると隙間からコンニチハしてる。
「―――ん!、――あ、ああ、いいよ、オレもそうだったしな」
指摘して良いものか悩むが、オレが見なければいいだろうと目を逸らす。
すこし歓談したあとまた亮が欲を出してきた。
「なあ、服が乾くまで手を繋いでていいか?」
「―――しょ、しょうがないな、いいよ」
もう手を繋ぐ事に抵抗は無い、いつでも繋いでやろうじゃないか。
とはいえ簡単に手を繋げると思われるのは癪だ、まだ付き合ってもいないのだ。
「お前、ほんと恋人繋ぎ好きだよな」
「そりゃそうだ、これが許された範囲で一番密着できる繋ぎ方だからな、塁は嫌いか?嫌なら普通に―――」
まただ、引こうとしやがって、完全に見透かされてるじゃないか。
「いやいい!このままで良い、オレもこれが好きだし…」
くっそ、完全に亮の手の平の上じゃないか…。
「なあ」
亮はさらに欲を出して踏み込もうとしてきた、キスはダメだぞと念を押さないと。
「ん?―――キスはダメだぞ」
「分かってるって、キスはしない、でもハグはしてもいいか?」
「―――流れでキスとか絶対にダメだからな、絶交だぞ!」
「じゃあハグするからな」
「…ん…分かった…」
キスは断固拒否すると、代わりにハグで強引に押してきた、キスNGの念押ししただけでハグなら良いなんて言ってないのに。
”ハグするからな”って押されたら抵抗なんか出来ない。
座ったままの姿勢でハグされた、抱きしめられた。
オレの想像以上に心が温もりを感じるし、密着感から安心する、オレも手を回して気持ちよさを感じていた。
オレの頭が丁度亮の首元にあり、匂いを吸い込むと亮の匂いと少しの雨の匂いで肺が一杯になる、匂いフェチ的にずっと嗅いでいたい匂いでそのまま舐めたくなる。
さらにノーブラだからかおっぱいで亮の胸板を感じて気持ちも良い、少し強く抱き締めてきたりしておっぱいが少し潰れるのも気持ち良い、背中に回した手に暖かさと女の子と違う筋肉を感じてさわり心地が好きだ。撫で回したくなる。
ああ、ハグ好きかも、いや好き、亮の鼓動を肌で感じて、吐息を直接耳で感じるこの密着感が癖になりそうだ。
暫くしたらもっと密着したくなって思わず言ってしまった。
「な、なあ、立ってハグしちゃダメか?」
その言葉に亮は無理だと返してきた、何か問題があるのだろうか。
って、勃起?
「え?まじか、まじかー?いやー?どうしたものか、一旦離れていい?」
実は危険水域で遊泳してたって事?この先はパクリと食べられますみたいな。
いやいや、亮を信じると決めたばかりだ、それに態々教えてくれたんだ、その気は無いはずだ。
一旦離れて状況を見てみて、大丈夫そうなら立ってやってみよう。
見ると、凄い元気になってる、オレの角度だと、元気に押上げてるのが見えちゃってるんだけど。
うーんうーん、あれが密着かあ、どうしようかなー、やっぱ無理かなー、うん、やっぱ無理!
でもきっとこのままだと辛いだろうけど大丈夫なんだろうか。
「…コホン!―――うーん、やっぱまだ無理!座ったままでのハグでお願いします、でもこのままで辛くない?」
「辛い、でも大丈夫、気遣いが嬉しいよ」
ハグの気持ち良さを知ってしまった。これはヤバい、癖になりそうだ。
手を繋ぐのと違ってどこでも出来るわけじゃないのが救いか、一応今回は特別って事にしておいた。
亮の服が乾いて、着替えるタイミングでやっと。
あー!何で気付かなかったんだろう、自分の家なんだからTシャツ着たままで過ごす事無かったじゃん!もうちょっとまともな服を着ていればハグもしないで済んだかも知れない。
いや多分無かったはずだ、あんな露出が多い格好してたから亮は欲が出たんだ、だって勃起してたし!
あー、やらかしたー、無駄に心のハードル下がったよ絶対、ヤバいな―。
ハグの気持ちよさ知ってしまったからなー、どうしよう。
亮は凄い、きっとオレなら暴走している、案の定、亮宅に着いたら自室に籠もってしまった。
まぁ…そうなるよね。
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