25.その先を見つめて
R-15な表現があります
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「母さん、今日から塁と正式に付き合う事になった」
「はい、今日から亮と付き合う事になりました、よろしくおねがいします!」
「あら~、一応確認だけど男女として、よね?」
「ああ、それで間違いないよ」
「はい」
「そうなのね、―――うん、おめでとう、2人共。
塁ちゃん、これからもよろしくね、お義母さんって呼んでくれていいから♡」
「ちょっと母さん!まだ早いって!」
「亮まさか、塁ちゃんと結婚しないつもり?」
ワタシは亮の顔を不安そうに見た。
「当然するつもりだけど!塁もそんな顔をするな、絶対に俺が幸せにする!」
「じゃあ、いいじゃない、塁ちゃん!今日からお義母さんって呼んでね♡」
「う、…は、はい!お…お義母さん」
「きゃー、塁ちゃんのお義母さんになっちゃった!嬉しい♡
それにね、亮、そういう時は”2人で幸せになる”って言うのよ、2人で幸せにならなきゃ塁ちゃんにとって本当の幸せは訪れないからね♡」
「―――母さんに勝てないな、うん、その通りだ、俺達は必ず2人で幸せになる!」
「ちょ、ちょっと恥ずかしいんだけど…」
「奈江にも話ししておかないとね、奈江ー!こっちきてー!」
「お母さーん、何ー?」
流石に奈江ちゃんへの紹介は少し緊張する、お兄ちゃん大好きっ子だし、本当に大丈夫なんだろうか。なにか言われたりしないだろうか。
「奈江、俺と塁は正式に恋人同士になった」
「奈江ちゃん、これからもよろしくね」
奈江ちゃんは一瞬驚いた顔になったけど直ぐにいつもの様に屈託のない笑顔になった。
「―――ちょっと複雑だけど、いいよ、塁ねえなら、お兄ちゃんをよろしくお願いします。
あ、でも時々お兄ちゃん借りるからね」
「うん、奈江ちゃんなら貸してあげるよ」
「大丈夫だ、塁が一番だけど2番目に大事なのは奈江だからな、ちゃんと兄として愛するから安心しろ」
なんとか大丈夫そうだ、時々亮の貸出をするみたいだけど、といっても今までもそうだっただろうから実質的はほとんど変化なしになるのかな。
今はまだまだ女の子として先輩の奈江ちゃんだけど、何かあったら頼ってもらえるように頑張らないと。
「あ!もしかして2人がしてる指輪ってペアリング!?」
「ああ、今日作ってきたんだ、2人の思い出だよ」
と言って右手薬指の指輪に軽くキスする亮、なんか様になっててカッコいいぞ。
「これのお陰で自分の気持ちに気付いたっていうか、気付かされたっていうか、そういうモノなのでとても大事なペアリングなんだよね」
厳密にはその時の写真だけど、ペアリング作りしてなければ気付かなかったからそういう事でいいと思おう。
「へ~、いいな~、私も早くそういうの作る相手ほし~な~」
「俺にくっついてても寄ってくるくらい気概ある奴がいればいいんだけどな」
「流石に中々難しいよね、まだ高校生活始まったばっかだし気長にいくつもりだけど」
亮にくっついている限りは難しいと思うけどな~、どうしてもハードル上がっちゃうし。
「あ、お、お義母さんそろそろ晩御飯の準備じゃないですか、ワタシ手伝います」
「あらあら、塁ちゃん、”オレ”も止めたのね、そっちのほうがいいわよ♡」
「ええ、もう亮の女になったからそこはケジメかなと思って」
「うんうん、そういう切り替えは大事よ、そっちの方が精神的に安定するし引きずりにくくもなるし♡」
「なんとなく分かります、なんというかやっと前に進めたような気がします」
晩御飯時に義道おじさんにも報告をし、おめでとうと亮には頑張れよと言ってもらった。これで亮の家族には全員話しをする事ができた。一安心。
次に実家に帰省する時には家族の一員として紹介してくれるそうだ、それはそれで緊張しかない。
――――――――――
晩御飯後、亮の部屋。
お互いがちょっとソワソワしてるのが分かる、そりゃそうだ、昨日までと違って今は恋人同士なのだ。
そしてワタシはいつものようにスキンシップしたくて堪らなくなっていた、だってしょうが無い、告白してからずっと我慢してるのだ、今だって、ただちょっと自分からは言い出しにくいだけなんだ。
「塁、ちょっと話しをしようか」
「ん」
といって亮はワタシの寝ているベッドに腰掛けた、ワタシも起き上がって亮の隣に座った。
手は重ねている。
「塁、俺は今凄く幸せだ、やっと思いが通じて、塁と恋人同士になれた。
俺は塁がTS症になってからずっと、本気で女として好きだった、当然今も好きだし、これからも好きだ。
なんで始めからこんなに好きだったか、当然見た目が好みってのは大きかった、だけど、元々が親友だった塁だから、というのが一番大きいと思ってる。見知らぬ誰かが同じ見た目だったとしても好きにはならなかった自信がある、それくらい俺にとって、塁のTS症は人生の転機だったと言える
」
「ワタシも今凄く幸せだよ、TS症になった時に隣に亮がいて亮の家族が居て、本当に安心出来たし、こんなに何も心配せずにやってこられたのは亮達のお陰だと思う。
それに、ワタシには側に亮が居てくれた、近すぎて中々気付けなかったけど、気付いた今なら分かる、側にいたのが亮で良かった、本当に心からそう思う。
亮、好き、大好き、もっと好きになりたい」
「塁、俺も好きだ」
「ワタシも」
お互いが向き合い、亮が軽くワタシを抱き締めた、ワタシも亮の背中に手を回した。
見つめ合った後、除々に顔を近づけていき、ワタシは目を瞑った。
とうとう亮とキスするんだ、少し前までなら絶対に考えられない、男とのキス、今だって男とは嫌だ、でも今なら、亮とならしても良い、したい。
ワタシの唇に亮の唇が重なる、軽く、少しだけ押し付けるように、それだけのキス。
ワタシは今、亮とキスをしている、2ヶ月前ならとても信じられない事だ、でも今は心から愛おしい人となった亮、その人とのキス、ああ、どんどん気分が高ぶっていくのが分かる、目を瞑っているからだろうか、唇同士が触れ合う感触と温かさがハッキリと伝わる、コレがキス。
そういえば以前、亮はキスする時はディープなのもすると言っていた、やっぱりするのだろうか、ここで。
時間にして10秒もないと思うけど、亮は唇を離した。
「どうだった、始めてのキスは?」
なんて聞いてきた。
「亮だって始めてだろ?」
「そうだな、家族をノーカンとすれば始めてだな」
ん?ちょっとまて、確かに普通の家族なら小さい頃とかそういうのはノーカンというのは分かる、だけど亮の家族の事だ、最近もやってそうなんだけど、どうなんだそこは。
そういえば、始めてのキスの割に慣れていた、ように、感じる、今思えば、まさか?
「―――もしかしてまさか、この家族は結構キスとかするのか?」
「それなりには、かな。そういう家族なんだ、だけど安心しろ、父さんとはさせないから」
「―――まじかーいやいいんだけどさー、まあでもそういう家族ならしょうが無いと言えるのか?」
「家族間のルールってのは何処でもあるからな、そこに口出しするのはダメだろ、文化を否定するようなもんだ」
「そうか、じゃあしょうがないな」
「そうそう、そういう事だ、じゃあ前に宣言してた通り、ディープなのいくからな」
「お手柔らかに頼むよ」
顔が近づいてくる、ワタシは目を瞑り、ドキドキした状態で待っていた、一応入ってこられるように口を緩く、閉じ切らないようにして。
亮はさっきとは違うキスで、さらに唇と舌を使って唇と貪り、次に歯、口腔、舌と舌を絡ませてきた。
まさか、まさかキスでこんなに気持ち良くなれるなんて、少し酸欠気味になり思考がぼやけ、交換される唾液が媚薬のように感じ、舐め回される感触にゾクゾクする。もっと、もっと、と求めてしまう。
プハッと口を離す亮、どれくらいの時間が経ったか全く分からない、1分とも30分とも感じられ、時間間隔が無くなっていた。
お互い呼吸を整ってきたタイミングでまた亮がキスしてきた。
唇と唇をぴったり隙間なく合わせ、口腔を貪られ、舌を吸い出し引っ張りだされ、舐め回された。
ハグのように体全体で感じるものでなく、口という一点集中なのにそれでいて、しっかり部位毎に感じる事の出来るキス。
ワタシはこれに夢中になりそうだった、だけど頭が一杯になる前に亮は口を離した。
「どうだった?」
「ハァ…ハァ…凄かった…」
「そりゃ頑張った甲斐があった、でも今日はここまで、これ以上やると歯止めが効かなくなりそうだし、山口達にも報告しないとな」
「…うん」
亮のほうが冷静だった、ワタシはまだまだ続けていたかったけど、そう言われては仕方がない。
帰りにマヤさんに呼ばれてあるモノを受け取った、比較的安いから自分でもちゃんと準備しなきゃダメよ、との事。
そっか、そうだよね。
――――――――――
「えー、皆さんにお話があります!」
「おーなんだなんだー」
「きたか…ドキドキ」
「…ワクワク」
「この度、ワタシこと名瀬 塁が上野 亮と正式にお付き合いする事が決まりました!
これもひとえに智子ちゃん、沙也加ちゃん、奏ちゃん3人のお陰です!ありがとうございました!」
「やったじゃん!成功したって事!?おめでとうー!」
「ってことはーやっぱり決め手はペアリングの写真だったのかなー?何はともあれおめでとー!」
「…おめでとう」
「あれって智子ちゃんの発案だったんだ」
「うん、前から3人で話してたんだよね、例えばさ、コレ見てみて」
写真が貼られた、お泊まり会で亮と2人で料理している時の写真だ。
そこに映っている金髪少女は今日リング工房で見たのと同じような表情をしていて、とても幸せそうな表情と恋する瞳で亮を見ていた。
ワタシは凄く恥ずかしくなってしまった。
まさか3人が居るにもかかわらずこんな表情を見せてしまっていたなんて。
「あの時凄かったんだよー、あたしら居るのに完全に2人の世界でさ、ハートが飛び交ってたよねー」
「うんうん、凄かったよね、だからあれを見た時にピン!ときたのね。恋心に気付いてないなら気付かせてあげれば良い、って!
それで探してみたら、あそこはペアリング作りの時に2人の写真を撮って販売してくれるって事が書いてあって、コレなら塁ちゃんも気付くだろうって思ったんだよね。
ちょうどペアリングってのもなんかロマンチックだし、丁度いいかなって」
「うん、智子ちゃん凄いね、自分の写真見せられた時に完全に分かっちゃった、ワタシは亮の事が好きなんだ、って」
「あれーそういえば”オレ”から”ワタシ”に変わってるね、そっちのほうがいいよねー」
「そういえばそうだね、うん、私もそっちのほうがいいと思う」
「亮の女になったんだからケジメとして変えてみたんだけどね、マヤさん、亮のお義母さんにもそっちのほうが精神的にもいい、って言われて」
「絶対そっちのほうがいいよ、間違いない!」
「…より可愛くなった」
「だねー、欠点がなくなっちゃったー」
「ところでーペアリングはしてるー?どの指?」
「うん、右手の薬指にしてるよ、亮も同じ所にしてる」
「おー定番の位置だねー、でもこれで名実共にクラス公認の恋人同士になれたねー」
「絶対隠さないほうがいいよ、むしろ見せびらかすくらいのほうがいいと思うな」
「いや流石に見せびらかしたりはしないけど」
「うんうん、でも良かった、塁ちゃんが幸せになれて」
「リングの時の写真送ってねー、絶対とんでもない美少女が映ってるでしょー」
「…写真楽しみにしてる」
「うん、写真は今は亮が持ってるからまた今度送るね、みんなありがとう、また明後日ね」
「おやすみー」
とさかトリオには大きな借りができちゃったなー、何かお返ししないと、亮と相談して決めよう。
こうしてワタシはTS症が発症して1ヶ月と少しで無事に亮と恋人同士になる事が出来ました。
女の子歴1ヶ月程度だからまだまだ大変な事もあるだろうけど、ワタシには亮がいるしお義母さんや奈江ちゃん、それにとさかトリオという大事な友達もいる、きっと2人で幸せになれると信じています。
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恋人同士となりましたので区切りと致します。
今後も亮と塁の恋人同士のイチャラブを書きたいので不定期に追加エピソードを書きたいと考えています。
皆様、ここまでお付き合い頂きありがとうございました。
TSしたらTSっ娘(母)を持つ親友に告白されました エイジアモン @eijiunknown21
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