21.お泊まり会
R-15な表現があります
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そして翌日、予定では昼少し過ぎにとさかトリオと駅前に集合という事になっている。
気を取り直し、あらためて今日明日は勉強をしないと。
お昼ご飯時に今日の晩御飯手伝いは塁の友達が来るから手伝えない事と夜朝昼の御飯は要らない事を伝えた。マヤさんはお友達と仲良くね、と送り出してくれた。
今は晩ご飯の食材を亮と一緒に近所のスーパーに買い物に来ている。
亮には秘密だが、実はレパートリーが一品増えている、肉じゃがだ。
煮物は他の料理を作っている時に並行して作れるし、比較的簡単で大量に作るのに向いているとの事でマヤさんに教えてもらったのだった。
といっても、ここに亮がいるので食材を買う時にバレそうだけど。
菜の花が見当たらなかったのでほうれん草にして、じゃがいもを取った時に亮は気付く。
「あれ、じゃがいも使う料理なんてあったか?」
「これはマヤさんに別で頼まれたやつだから」
と言って誤魔化した、セーフ!
後は玉ねぎなんかの必要な食材も合わせて購入した。
――――――――――
亮と一緒に駅前でとさかトリオを待っている。
「あ、やっほー、塁ちゃーん、上野くんもー」
沙也加ちゃんだ、時間より早めに来るので好印象なんだよね。
後の二人は電車の都合でまあそれなりに。
「うわあ、本当にお隣さんなんだねえ」
「俺は1度戻って勉強道具持っていくから」
「じゃあまた後で」
「えーこの家に1人って寂しくならないー?」
「そんな時期もあったけど慣れちゃったからね」
むしろ寂しさを感じたのはTSしてからだった。
「流石に部屋だと狭いからリビングでお勉強になるかな」
「5人って考えると流石に狭いよね、でも1回どんな部屋か見てみたいな―なんて」
「えー恥ずかしいし、思ってるような部屋じゃなくて男の部屋だからね」
「あーそういえばー、女の子になってどれ位ー?」
「んーと、3週間くらいかな?」
「まだ3週間だもんね、確かにまだ部屋は女の子してないかも」
勉強会が始まった、教える側は主にオレと奏ちゃんで教えられる側は主に智子ちゃんと沙也加ちゃんで、少し教える側だったのが亮だった。そもそも亮は今週一緒に勉強してたからある程度は分かってるはずだけど。
休憩を挟みつつ、何事も無く時間が進み、そろそろ晩御飯の準備をしようかという時間になった。
「じゃあ、オレはそろそろ晩御飯の準備始めるから、後は頑張ってね」
「あ、手伝うよ!」
「いやいや、智子ちゃんは勉強頑張らないとダメでしょう」
「…はーい」
「じゃあ俺が、皮むきとか何か手伝えるだろ」
「んー、亮ならいいか、よろしく」
「彼氏くんだけズルいー」
「彼氏くんだけいいなあ」
「誰が彼氏だ誰が、2人はちゃんと勉強するように、奏ちゃんお願いねー」
「…まかせて」
「そうだな、まだ付き合ってもいないのに」
その亮の言葉に少しの寂しさを覚えた。
自分で言う分には何でもないのに、亮がいうと寂しいなんて、なんて自分勝手なんだ。
亮にお手伝いをお願いし料理を進める、流石に手伝ってくれてる亮には肉じゃがの事を言うと、嬉しそうに楽しそうに、味見は最初にさせてくれと頼んできたので2つ返事でいいよと答えた。
なんだか2人でキッチンに立っているのが楽しくなってきた、亮は慣れていないので流石に手付きが危なっかしいがオレも最近まではそうだったのだ、丁寧に教えて、2人で料理を進めた。
亮と2人で何かをやるのって楽しい、亮は雑にならずに丁寧にやっているのが性格が出てると思った、ちゃんと教えたらオレより美味しいものができそうな気がする、オレも負けないように頑張らないと。
TOSAKA View
「ねえ、あっち、完全に2人の世界に入っちゃってない?」
「あーね、あたしもさっきから気付いてた、ハートマークが飛んでるねありゃ」
「…証拠写真とっとこう」
「おー、いいねー、後で資料として使えそう」
「やっぱさ、恋する乙女って、より綺麗で可愛いよね、そういうオーラ出てるというか」
「そうねー、なんか普段より可愛い微笑みしてるしー、あ、またハートが飛んだ」
「でも本人は気付いて無さそうなんだよね、気付けば絶対直ぐに恋人同士になれそうなのに」
「推しが早く幸せになれるように後押ししないとだねー」
「…その前にテスト」
「―――はぁ、そうでした」
「やりますかねー」
――――――――――
流石に5人前は量が多く、思ったより時間がかかったけど、なんとか完成した。
肉じゃがの味見をした亮は、感無量で涙を流して美味いと言っていたが、参考にならなそうなので自分で味見しなおした、全く問題なく美味しかった、良かった。
出来た物は前回のお弁当と同じく、おにぎり、ハンバーグ、タコさんウィンナー、卵焼き、菜の花は無かったのでほうれん草の胡麻和え、花の形にカットしたニンジン、と追加で肉じゃが。
一応たくあんもいれておいた。おにぎりに合うんだよね。
「「「「「いただきまーす!」」」」」
3人とも感動して食べてくれた、美味しいとも言ってくれた、嬉しかった、それでも亮が言ってくれた”やっぱりめちゃくちゃ美味い”という言葉が一番嬉しかったような気がする。作って良かった、本当に。
一緒に作る時も楽しかったし、一緒に食べるのも楽しかった。後はアレが上手くいけばきっともっと、より良い気分で寝られそうな気がする。
食後は一休みとお風呂に入ってから、勉強を再開するという話しに。
ようするに交代でお風呂に入ってお喋りをする時間という訳なんだけど4人共女の子なので結構時間がかかる、結構な時間がダベリタイムになりそうだ。
亮は一度家に戻って風呂に入ってくるという事で戻っていった。
――――――――――
最後にお風呂に入り、シャワーを浴びる。
みんなとのお喋りは楽しかった、今まともに友達と言えるのはこの3人だけな気がする。
正直、男友達はやっぱり難しいというか、相手も少し遠慮しているのを感じるし、特に公認カップルになってからはオレの友達じゃなくて亮の友達、そしてオレは亮の彼女という立ち位置になってしまって友達という感じではなくなった気がする。正直寂しい気持ちはある。
風呂を上がると亮が戻ってきていて、少しの安堵を覚えた。
さて引き続き、テスト勉強をしますかね。
「そういや亮はこの後どうするんだ?」
「流石に此処に泊まる訳にもいかんだろうから戻って寝るよ、隣だし」
「えーどうせなら泊まっちゃいなよー、塁ちゃんの寝室を貸してあげるよー」
「いや流石にダメだろ、それに5人も泊まる場所ないだろ?」
「あー、一応泊まれるように1Fの客間に準備してあったりするんだけど」
「流石塁ちゃん、準備万端だね」
「ちょっとまて、3人は男が一緒で嫌じゃないのか?」
「男が一緒っていっても同じ部屋で寝る訳じゃないし、塁ちゃん以外興味ないんでしょ?」
「確かにそうだけど…、塁はどう思ってるんだ?」
「うーん、まあ、そのつもりで準備したんだからさ、泊まっていったら?久しぶりに。
確認するけど、3人共、亮が客間に泊まっても良いかな?」
「塁ちゃんが良いならいいよ、部屋は分かれてるんでしょ?」
「2Fに使ってない部屋があるからそこで3人でって形になっちゃうけどいいかな?」
「いいよー」
「…OK」
「まあそういう訳だから」
「分かった、泊まらせてもらうよ、家には連絡しとく」
夜のテスト勉強は思ってたより捗ったように思えた。
就寝の時間、亮を1Fの客間に案内して、3人には2Fの空き部屋に案内した。
その後、空き部屋でとさかトリオとお喋りを興じた。
そしてオレは、3人がいるにもかかわらず、今日ある事を決行しようと思っていた。
そう、昨日のハグの続きだ。
3人が寝静まった頃、1Fに降り客間へ、寝ている亮を起こした。
「どうしたんだ塁、こんな時間に何かあったのか?」
こんな時まで心配してくれている、優しいやつだ。
「じ、実はお願いがあって…」
「なんだ、やっぱりあるんだな」
「やっぱりって、何か気付いてたのか?」
「いやそりゃそうだろう、態々女子3人もいるのに男を泊める理由がない、で何があるんだ」
「実は…昨日の続きがしたくて…それで…」
「昨日って―――ハグのか?確かに途中だったけど、―――はぁ、分かった、俺からは手を出さないから安心してくれ」
「う、うん、ごめん、亮には辛い思いをさせるけどそれはお願い」
「じゃあ俺も一つだけお願いしていいか、お前が満足したら一緒に寝てくれ、といってもエッチな事じゃなく、ただの添い寝だ」
「分かった、それくらいなら」
「よし、それじゃ、甘えていいよ、おいで」
亮に”おいで”と言われるとオレの心は溶けそうになった、甘えたくなった、全部委ねたくなる。
どこまでも甘やかしてくれそうな優しい声でオレを呼んだ。
オレは、お泊り会のためにいつもなら着ないパジャマを着ていた、昨日の服より生地は薄いし、寝る時の格好なのでノーブラだ、その状態で亮の胸に飛び込んで、またしても対面座位の姿勢で亮に抱きついた。
体の前面、お腹から上全てが密着するように。
しっかりと亮の鼓動を感じ、亮に頭を撫でてもらって蕩けそうになり、亮を肌で感じようと押付け、亮の背中を撫で回し、亮の吐息を耳で感じ、亮の匂いで肺を一杯にした。
腰をより密着するために動かそうとすると、亮はそれだけは止めてくれと言ってきたのでそこだけ我慢した。
鼓動は混じり合って演奏を奏で、感触と大きさは男と包容力を感じ、温もりで安心感を得る、吐息は甘美な痺れを与えてきて、匂いは思考能力を奪い、全てが気持ち良く、何も考えられなくなっていた。
時間にして10分ほどだろうか、満足したのかどちらともなく離れた、亮はトイレへ、オレは一旦部屋に戻った。
客間に戻り、亮と一緒の布団に入り、亮の腕枕でそのまま寝た。
これ以上ない安心感と心地良さですぐに眠ってしまった。
――――――――――
目を覚ます、いつもと違う感触、これは…。
「え、亮?」
亮の腕枕だった。
あ、そっか昨日の夜は亮と添い寝したんだった…。
「塁、起きたか、おはよう」
チュ、とおでこにキスをされた。
「おまッおまッ、何もしないって約束だっただろ!」
「いいだろおでこにキスくらい、俺は昨日あんなに我慢したんだ」
「うッ確かにまあこれくらいは…」
ガバッと起き上がる、早く起きて朝の準備をしなくては。
「じゃあ、亮、先に行って朝の準備してくるよ」
「はい、いってらっしゃい、俺ももう少ししたら起きるよ」
なんとかとさかトリオが起きてくる前に朝ご飯の準備、といっても昨日の残りだけど、を温めたり出したりした。
――――――――――
お昼までの勉強会は問題なく終わり、お昼ご飯はコンビニで買う事になった。
各自適当にお昼を買って、またオレの家で食べてから勉強を再開した、流石に明日からテストで追い詰められて集中しているようで、特に問題が起きずに無事にすんだ。
夕方に解散となる、亮と一緒に駅まで送る、丸一日と少し、ずっと一緒にいたので少し分かれが惜しい。
「んじゃーね、塁ちゃん、なんとかまともな点数取れそうな感じだよー、また明日ねー」
「すっかりお世話になっちゃったね、また今度一緒に勉強教えてね、また学校でね」
「…また明日ね」
「うん、また明日学校でね、テスト頑張ろう」
「明日学校でな」
「じゃあ帰ろうか、この後3人で最後のあがきでもする?」
「そうだな、奈江も呼んでラストスパートと行こうか」
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