この幻想の劇場から、世界に響け、私の歌
高校生の喜嶋慧雅(キジマ・ケイガ)は、幼馴染の夕凪儚那(ユウナギ・ハカナ)が車椅子生活になったのをきっかけに、好きだったギターを辞め、物事に挑戦する勇気を失った日々を送っていた。
夏休みのある日、彼らは街の集合的無意識と一体化した異空間「幻奏劇場」に迷い込み、そこに発生する可能性が擬似生物と化した怪物「騒狗(ギニョル)」と、それと戦う人工知性体の少女哀咲雨鈴(アイザキ・ウレイ)に遭遇する。
慧雅たちは雨鈴に協力して騒狗を倒し、現実に帰還することに成功した。
その翌日、彼らは現実で雨鈴と再会する。彼女を作ったのは慧雅の父親が務める研究所で、慧雅の父親は未発達な雨鈴の情動を成長させる為に現実の子供達と関わらせようと自分の家に連れてきたのだ。
二人は昨日のお礼と歓迎に、雨鈴を連れショッピングモールへ遊びに行く。
雨鈴は慧雅と夕凪を恋人同士だと思っていた為、彼らの関係を後押しするつもりで動いたが、夕凪はその態度を自分から慧雅を奪う為の行動だと判断してしまう。
そのショックで夕凪は幻奏劇場に取り込まれ、その力で慧雅を捕まえ、更に世界全てを幻奏劇場と一体化させ自分が一番になれる=全人類が自分と同じように歩けなくなる世界に変えてしまおうとする。
世界の危機を前に慧雅は自分には何も出来ないと閉じこもりそうになるが、雨鈴によって自分が本当は諦めたくないことと、昔夕凪に言われた「あなたは出来る奴だ」という言葉を信じたいと思っていることに気づかされ、夕凪を止める覚悟をする。
夕凪が生み出した騒狗との戦いで慧雅は敗北しそうになるが、騒狗を倒す力に目覚めて形勢逆転。
夕凪が欲しがっていた「お前はまだ出来る奴だ」という言葉を伝えることに成功し、騒狗を倒して彼女を現実に連れ戻した。
そして現実に戻った後、夕凪は復学することを決め、慧雅もギターを再開し、お互いに前を見ることが出来るようになったのだった。