厳しい冬の大地。熊は神で、その身をもって人に生を齎す。親のいない兄妹と小熊が出会い、そこから物語は展開していく。村の掟。その掟から外れた時、悲劇が兄妹を襲う。切なくも厳しいセカイで生きる、ひととけものの物語。この物語を最後まで読んだ方は、きっとラストの描写に物語の続きを想像しながら、心に残った余韻を噛み締めているのではないかと思います。食物連鎖に対する考えを、神(けもの)が齎す生と、ひとが得、奪われ、また得る繰り返しに、その残酷で美しい世界観を垣間見ました。良き物語をありがとうございました。
最期まで読んだ際に寂しさと無情さを残すお話ですね・・・私は書かれているお話の中ではこれのお話が好きですねぇw
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(173文字)
兄妹が一頭の仔熊と生きる物語。3つの魂を取り巻く環境はあまりにも過酷で、結末はすでに決まっている。それでも懸命に前に進む姿に胸が締め付けられます。人間の持つ薄汚れた魂と、高潔で生を寄せ付けない厳冬の精霊が、見事に対比された美しいお話。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(297文字)
短い文章で的確な描写。最初の部分から一気に引き込まれて行ってその世界に入り込めます。 生きるとは何なのか、神とは? 自然とは? そんなことを考えさせられる素晴らしい小説でした。
厳しい土地にある村の習俗が、くっきりと描かれています。そしてその中で寄り添う兄妹の姿が、凛として切なく、強い。これはもう、神話の1ページです。アイヌ文化やゴールデンカムイなどをご存知の方にはまた、ヒシ、と心に伝わるかもしれませんよ。あくまでも架空の土地の物語ですが。是非、ご一読を。
自然と共に生きる上で淘汰されていく人と動物。過酷な環境の中生きていく為、身を呈して妹を守る兄。この作品には冬の匂いという山の厳しさと神秘さがあります。切なくも美しい描写のこの作品に是非立ち寄ってみて下さい。
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