命は巡る、贄を得て。

厳しい冬の大地。熊は神で、その身をもって人に生を齎す。
親のいない兄妹と小熊が出会い、そこから物語は展開していく。
村の掟。
その掟から外れた時、悲劇が兄妹を襲う。切なくも厳しいセカイで生きる、ひととけものの物語。

この物語を最後まで読んだ方は、きっとラストの描写に物語の続きを想像しながら、心に残った余韻を噛み締めているのではないかと思います。

食物連鎖に対する考えを、神(けもの)が齎す生と、ひとが得、奪われ、また得る繰り返しに、その残酷で美しい世界観を垣間見ました。

良き物語をありがとうございました。

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