民俗学と幻想文学に対する挑戦

【面白かった点】
カクヨムに限らず、ネット小説でファンタジーといったら、ゲームのRPG的な世界観を伴ったお約束満載のフィクションが主流ですが、本作の場合はたとえば、ボルヘスやバルガス・リョサといった骨太な幻想文学に対して、民俗学を土台にして挑戦しています。そこが何より面白い。

【良かった点】
この作品には現代的な合理性がありません。キャラクターはそれぞれ、土着の信仰を抱えて、一人はそれに殉じ、一匹はそれに抗い、また一人はそれを越えようとします。そんな不条理な世界が素晴らしい。

【期待している点】
この作者さんは本物です。自ら幻想を作ろうとしている。私はそんな姿勢に拍手を送りたいです。

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