概要
満月の夜に僕はセンセイを殺した。
『僕が君たち親子を救ってあげるよ』
事故で兄を亡くしたという過去に囚われたまま苦しみ続ける僕たち親子の前に宗教法人『霊明新燦会』の教祖であるセンセイが現れる。
母は『霊明新燦会』の熱狂的信奉者になり、僕を連れて『セミナー』に毎週参加するようになった。センセイの言いなりになった母は偽りの幸福に浸り、よく笑顔をみせるようになった。
僕は母の精神的な均衡を保つためにセンセイ主催のセミナーで数十人の信者たちに見守られながら自己の解放と、過去のトラウマを克服し健全な精神を宿すことを目的とした”特別”な催眠療法を受ける。
催眠療法中、僕は過去の記憶がフラッシュバックしてしまいパニック状態に陥ってしまった。激しい頭痛と過呼吸に意識を失いかけていた時、目には見えない正体不明の”何か”が僕のなかに入っ
事故で兄を亡くしたという過去に囚われたまま苦しみ続ける僕たち親子の前に宗教法人『霊明新燦会』の教祖であるセンセイが現れる。
母は『霊明新燦会』の熱狂的信奉者になり、僕を連れて『セミナー』に毎週参加するようになった。センセイの言いなりになった母は偽りの幸福に浸り、よく笑顔をみせるようになった。
僕は母の精神的な均衡を保つためにセンセイ主催のセミナーで数十人の信者たちに見守られながら自己の解放と、過去のトラウマを克服し健全な精神を宿すことを目的とした”特別”な催眠療法を受ける。
催眠療法中、僕は過去の記憶がフラッシュバックしてしまいパニック状態に陥ってしまった。激しい頭痛と過呼吸に意識を失いかけていた時、目には見えない正体不明の”何か”が僕のなかに入っ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!雰囲気で読ませるサイコホラー。静謐な筆致からの死体の鮮烈さ
雰囲気で読ませる小説が一番難しいと思いますが、本作は雰囲気がとてもよいです!
純文学寄りのサイコホラーだと感じました。
作中に横たわる兄の死体が、主人公と母を壊していく……
その死体のなまめかしさ、不気味さ、そして鮮烈さ。
また、偉そうですみませんが、文章がとてもうまいと思いました。
簡潔かつ濃密。特に視覚的な描写が鮮やかです。
吐き捨てるような一人称の語りがマッチし、くどくなく、ただただクールで鮮やか。
その静謐な描写の中にテロ的に飛び出す兄の死体の鮮烈さよ!
そのグロさを、全体としての暗く繊細な雰囲気により、グロ美学に昇華している。
精緻な描写と死体のコントラスト、全体の雰囲気…続きを読む