概要
書き下ろし一話を加えて全面改稿。同じ一日が繰り返されるようになった混沌の世界を生きる人々を描いた連作短編集。
書籍版https://www.kadokawa.co.jp/product/322212000987/
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!明日も明日がこないとは限らないのだから。
「明日が来る保証なんてないんだから」
それは、現代に生きる私たちが、倫理や道徳や哲学や、人生観死生観を語るときに往々にして出てくる仮定のことば。
ただし、どれだけそんなことを頭で理解してみようとしたって、身をもって体験することは難しい。というより、ほとんど無理だ。
その境地にたどり着けるのは、死に片足突っ込んだりして、極限を「見た」ものたちに限られる。
ただ、私たちは忘れる才能を持っている。生きていく上で最も大切な、守りたい思想や哲学を、往々にしてどんどん忘れてしまう。
「明日がこないとは限らない」
冒頭と逆のアプローチをとるこの言葉は、本著『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』を読んだ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界が変われば、人の生き方さえ変わる
「今日」という一日が繰り返される現象の中での、各個人の生き方を捉えた短編集。
いわゆるループものですが、ループ知覚者は特別ではなく、常識としてなりつつある世界。それも全世界に、です。
ループの中で起きたことは、一日が過ぎれば元通り。ケガでも死亡でも元通り。ただしループ知覚者は、記憶を次に持ち越せます。
そんな世界になった場合、人はどう変わるでしょう。
本作は日常の有り様がリアルで、様々な事態を想起させます。
まるでコロナ禍のように暮らし方や考え方も一転として変わるという。
さらに知覚に目覚めていくのも平等ではない理不尽さ。
各篇の主人公たちは、ループの渦に巻きこまれつつも、己の中の信…続きを読む - ★★★ Excellent!!!これはゾンビ系パニック物に比肩する新たな発明かもしれない
1年ぐらいカクヨム内の作品を読み漁ってきた者ですが、「発想」「構成」「描写」いずれにおいても「負けたぁ」と唸った作品に出合えたのは、これが初めての経験でした。
最高に面白い。完成された作品に出合えました。
独特な世界設定をぶち上げて、その環境で人間がどのように振舞うのだろうかという壮大な思考実験。またそれが、ただのシミュレートではなく個々のドラマ、物語として成立しているエンタメ性。
これは、自分自身が作品を書くときにこうありたいと思う理想を、完璧に体現しておりました。
具体的なあらすじの説明は、カクヨム運営公式さんのレビューに譲ります。実際自分もそれを読んで興味を持ち、試してみるかと取り…続きを読む - ★★★ Excellent!!!もし地球上の全員が同じ一日を繰り返し始めたら……?
ループものにおける主人公の最大の武器は自分だけが記憶を持ち越せて何度もやり直せること。しかし個人ではなく、それ以外の全人類もループし始めた場合、世界はどうなってしまうのか? そんな全人類が同じ一日を繰り返すようになった世界を描いたのが本作品だ。
本作は連作短編形式になっており、話によって主人公が交代する。娘を殺され犯人に復讐を誓う親。襲われないように自分たちで自衛する女子高生。事故からの復帰を目指す格闘家。一人で毎日図書館に通う女性。立場の異なるこの4名の視点から物語は紡がれる。
一人一人のエピソードが面白く――復讐を達成しても、殺された者がループによって翌日に甦るなら殺す意味はあるのか…続きを読む