明日も明日がこないとは限らないのだから。

「明日が来る保証なんてないんだから」

それは、現代に生きる私たちが、倫理や道徳や哲学や、人生観死生観を語るときに往々にして出てくる仮定のことば。

ただし、どれだけそんなことを頭で理解してみようとしたって、身をもって体験することは難しい。というより、ほとんど無理だ。
その境地にたどり着けるのは、死に片足突っ込んだりして、極限を「見た」ものたちに限られる。

ただ、私たちは忘れる才能を持っている。生きていく上で最も大切な、守りたい思想や哲学を、往々にしてどんどん忘れてしまう。

「明日がこないとは限らない」

冒頭と逆のアプローチをとるこの言葉は、本著『トゥモロー・ネヴァー・ノウズ』を読んだものの心におそらく深く長く棲むことになる大切な存在となる。少なくとも私はそうだった。

ああ、そういうことね? 未読のあなたは、そう思うかもしれない。ただし読まないと、真に心に迫ったりはしないはずだ。

同じ一日を繰り返す「ループ」が日常となった世界で、個々人の持つ哲学がむき出しになっていく。

自分自身の善悪はどこにあるのか?
何を守りたくて、何に耐えられないのか。

さらに、書籍版の加筆章である4章「イノセント・ボイス」の余韻については語り尽くせないので、ご興味のある方はぜひ書籍版を手に取っていただければと思います。

日々大切なものを忘れていく「才能」や「特性」を持つ私たちに、いつでも手に取って読み直すことができる「本」という形として遺してくれた宮野優さんに感謝を伝えたい。

すばらしい物語をありがとうございました。

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