虐められた令嬢は、虐めたメイドと共に嫁ぐ事になりました。

とある伯爵家には、二人のお嬢様がいた。
一人のお嬢様は両親からも可愛がられ、その家に相応しい扱いを受けていた。
もう一人のお嬢様は、不義の子として、そういう扱いを受けていた。

カモミールというそこらに生えている花の名前をつけられた、雑草令嬢と呼ばれるお嬢様は、今日も虐めに耐える。
誰も彼女の味方はしない。
奥様もお嬢様も、そして、父親である旦那様も。
メイド達も雑草令嬢の味方はしない。
そんな事をすれば職を失うからだ。

だが、カモミールにはたった一人、味方がいた。
ひっそりとしていると言えば良いのか、堂々としていると言えばいいのか、分からない形で、彼女はカモミールを守り続けた。

「ねぇ、この合図って、震えろだっけ？」
「違いますよ、泣けですよ。ポケットの中にタマネギいれとけば良いと思い…続きを読む