第38話 恋人、ですか?
「変な言い方をするのはやめてください」
「どこが変なんだ?私に教えておくれ」
「あなたのそういう所がーーー」
現在、ローブを着た女性と副所長は、私の目の前で言い争いというか、副所長が一方的に揶揄われている。
副所長と一緒にいた人は女性だった。そして、副所長と親しげに話す姿に驚く。
副所長が女性と親しげに話すのを初めて見る。仕事の時も、業務連絡だけしか話さないのに、この女性は副所長と親しげに話すだけではなくて、副所長の事を揶揄うのを楽しんでいる様に見ている。
副所長はこの女性に強く出れないらしい。この女性は誰?顔は見えないけれど、魔塔でも、ラミア国でも聞いた事がない声だ。
魔塔から出ない副所長に、親しい女性がいるなんて知らなかった。
副所長と出会って2年と少し、マーティン様と親しい仲なのも知らなかったし、副所長が誰と親しいのかも知らない。私は副所長の何を知っているの?
私はふとある考えが浮かぶ。
どんなに美しい女性に声を掛けられても、相手にしない副所長に女性には興味がないと思っていたけれど、副所長に恋人がいたから、相手にしなかったとしたら?
そして、目の前には副所長と親しげに話す女性が一人……。
私がそんな事を考えていると知らない二人は、帰れ、帰らないなどと話している。
しばらく二人が言い合っているのを見ていた私は、「あの」と声を掛けると、二人は同時に私を見た。
「どうしたんだ?」
近づいてくる副所長を見つめると、副所長は不思議そうな顔をする。
「女性とはどんな関係ですか?」と聞くか聞かないか迷う。
今までの私は、エドワードに何も言わずに去った。私はまた、同じように何も言わないつもり?
私は手をギュッと握り、決心する。
「副所長はあちらの女性と……親しい関係なのですか?」
私の言葉に副所長は、不愉快そうな、苦虫を噛み潰したような、不思議な顔をする。
副所長が何も言わない事にドキドキしていると。
「クッフフッ………」
女性が笑い出した。
「アハハッ……フフ……。君が真剣なのに笑ってすまない」
私が驚いて女性を見ると、女性が謝罪をする。
「私とジェレミーは親しい関係だが、君が考えている様な関係ではないよ」
女性の言葉に、「本当ですか?」と副所長に聞く。
「この人の言う通り、シャーロットが考えているような関係ではない」
副所長の言葉にホッと息をつくと、副所長が私の頬に触れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます