第14話 二人の関係
「そうだね…今ではこんなに大きくなったが、ジェレミーが赤ちゃんの時から知っているよ」
そう言ったマーティン様の目は副所長を優しく見つめていて、マーティン様が副所長を大切に思っている事が伝わってくる。
そんな副所長はマーティン様の視線から気まずそうに視線を逸らす。
「副所長!どうして教えてくれなかったのですか?私がマーティン様を尊敬していると知っているのに」
赤ちゃんの時からの知っているだなんて驚きだわ。
そんなに親しい関係なら、マーティン様を尊敬していると話した時に言ってくれればよかったのに。
あの時は複雑そうな顔をしていたけど、マーティン様と親しいからだったのね。
私の非難が入り交じった言葉に副所長は言った。
「言う必要がないと思っただけだ。僕個人として親しい訳じゃないからな」
「親しくないだと……?そんな悲しい事を言ってくれるな。私はジェレミーの事を可愛い甥っ子だと思っているのに」
悲しいと言う割に、マーティン様の顔は笑っている。
「誰がだれの甥っ子だと?」
そう言いながらも、副所長は嫌そうな顔をするが、本当に嫌がっていないのが分かった。
不思議だわ…。副所長がこんなに親しそうに話すのを初めて見る。
副所長には有無を言わせない空気感があるのに、マーティン様には副所長が押されっぱなしだ。
「シャーロット君に教えないにしても、どうして僕に教えてくれなかったんだ?ジェレミーにこんなに可愛いらしいお友達がいたなんて知らなかったよ。それに、私を尊敬していると言ってくれてるじゃないか」
マーティン様は副所長を揶揄う様な目で見てから私を見る。
私の馬鹿!後で言うつもりだったのに、尊敬しているって勢いで言ってしまうなんて!
マーティン様が優しく笑って可愛らしいなんて言うから、私は恥ずかしくて、顔が熱くなった。
そんな私とマーティン様を見て、副所長は呆れた様に言った。
「こうなるから教えたくなかったんだ……」
そう言った副所長は話しているだけなのに疲れている様に見える。
その後もマーティン様と私、副所長の会話は続く。
会話が弾む中、私は気になっている事をマーティン様に聞いてみる。
「そう言えば、マーティン様はどうして私の事を知っていたのですか?」
シェルロン国出身とはいえ、一介の魔塔の魔法使いの私をマーティン様が知っていたのが気になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます