第41話 出生の秘密
記事には副所長の今までの経歴と功績を称える内容と、王族の方たちの言葉が載っている。
王の弟ということは……前国王の息子?
前国王には一人の息子であるヴェイセル様と、二人の娘がいる。ヴェイセル様は前国王が退任後、国王となった。
そう、前国王には息子が一人だけのはずだ。
それに、ラミア国王は三十代後半で、副所長とは歳が離れ過ぎている気がする。
王室通信だから、真実が書かれているはずだけど、私は信じられないでいた。
私は呆然と王室通信を見つめる。
「ジェレミーは話そうとしないだろうけど、君には知っていて欲しいから話すよ」
マーティン様が何を話そうとしているのか、知るのが怖い。だけど、知らないといけない気がした。
覚悟を決めた私は、マーティン様の目を真っ直ぐと見る。
「ジェレミーは現国王の腹違いの兄弟であり、前国王の息子なんだ」
告げられた事実は、私がいくつか予想していた中の一つだった。
「前皇后が亡くなってから、再婚せずにいた前国王は、ある女性と出会う。二人は惹かれあい、女性と前国王は愛し合うようになると、女性はジェレミーを身篭った」
「ラミア王室は、ジェレミーの母親の妊娠を祝福した。ジェレミーを王族として迎え入れようとしたが、ジェレミーの母君がそれを拒んでね。自由を好んだ彼女は、ジェレミーに王族に入るかの判断を委ねたかったらしい。家族を大切にするラミア王室は、ジェレミーを王族として迎えない代わりに、ジェレミーを守るため、ジェレミーにある制約をかけた」
「制約、ですか?」
「ラミア王室は、ジェレミーが国外に出ないことを条件に、ジェレミーが自由にラミア国で生きることを受け入れた」
副所長が外国に行ったことがなかったのは知っていた私は、副所長が外国に行ったことがない理由を理解した。
どうして外国に行ったことがないのか、副所長に聞いた時、言葉を濁していたのにも納得がいく。
だけど、ある疑問が浮かぶ。
私は副所長と一緒に、シェルロン国で捜査もしたし、街を歩いた記憶がある。
「制約があるのに、どうして副所長はこの国にやって来られたんですか?」
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