3-8

 11月の日曜日、天気が良かったので、私は独りで2階のベランダに出て、電気コンロを持ち出して、ふぐの味醂干しを焼きながら、ワインをチビチビやっていた。と、言ってもプチも一緒だ。お父さんは相変わらず、ゴルフで出て行ったし、お母さんも仕事だから、こんな姿は、両親には見せられないかも知れない。


 気持が良くなってきて、プチも充分食べた頃、プチが戻ってきて


「すずりちやん 話があるんだけど・・ 実はな、チッチが調子悪いんだよ」


「えー どうしたのー どこか、悪いの?」


「うーん 何かね、こいつ寿命短いみたい それに、俺が無理させすぎたみたい」


「えー 死んじゃうの?」


「いや 直ぐって訳じゃぁ無いんだけど 俺が、すずりちゃんと出掛けて居る時に、何かあるとさー 俺は、戻れなくって、大変なことになるんだよ すずりちゃんから、出られなくなると、すずりちゃんに何が起こるかわからない」


「何かってなんなのよ せっかく、いい気持ちになってきたのに、醒めるじゃぁない 不安にしないでよー プチったら」


「例えばね 最悪 俺の精霊が強いと、すずりちゃんを追い出して、身体を俺が乗っ取ってしまうとか」


「何よーソレ 私は 何処へ行ってしまうの?」


「うーん そうなると 世間をさまようとか」


「そんなの めちゃくちゃじゃぁない 私 死んだようなものなの? そんなの嫌だぁー」


「待ってよ 最悪の話だよ そうなるのを、防ぐために、これから、俺は、すずりちゃんと外に出掛けるのは、よそうと思う」


「ということは、家ン中だけなの プチと話せるのは」


「そういうことだな これからは、自分のことは自分で守って」


「そうなのかー 自分で守ってねぇー それが、普通なのかもね プチと普通の猫として、又、会いたかったのかも」


「うん 先行きは、運が良ければ、又、合えるかも でも、その時は、俺のきおくはもうなくなっている普通の猫だろうな」  

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