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呼ばれて、階段を降りて行くと、チッチがポンポンと飛び降りて行く。いつもは、モタモタして降りているのに。ご飯を食べている時も、妙に私の足元にすり寄って来る。
「お母さん 今夜のチッチ、様子がなんだか変じゃぁ無い?」
「そう ご飯足りなかったのかしらね お肉少しあげればー」
私、小さいのをあげたけど、やっぱり、食べ方が変。いつもは、何回も噛むんだけど、2回位噛んで飲み込んでしまう。ご飯のお片付けをしている時も、ずーと私の側に居る。いつも、自分の猫ベッドにさっさっと行くのに・・。
2階に上る時、チッチは付いてきた。私は、明日、会社を終えた後、あの人に食事に誘われ、仕方なく、行くことにしてしまった。悩みながら、着て行く服を選んでいると
「明日は、ちゃんと断れよ 付き合うの、嫌なんだろー」
「えー 誰? 誰なのー」窓は閉まっている。チッチはベッドで寝ている。
「すずりちゃん 俺だよ 可愛がってくれたろー 一緒に、ベッドでも寝てくれた」
「そんなー うそ プチ? なんでー なんで、声がするのー」
「落ち着いて よく、聞いて 信じられないだろうが 俺は、今、すずりちゃんの心の中に居る。魂がチッチの身体を通して、すずりちゃんの心の中に入り込んでいる。チッチは俺の弟ながら、駄猫だ。捨て猫が飼い猫になった時のありがたみを感じていない。すずりちゃんを守れない。だから、俺は、猫の神様にお願いをして、すずりちゃんのもとに来れるようになったんだ」
「それって なんなの プチが私の中に居るってこと? プチの身体は? なんで、話せるの?」
「身体は、チッチのを借りている。魂だけがすずりちゃんの中に入れるんだ。魂だから、すずりちゃんにはこう聞こえるんだよ」
「そんなことってあるのー 夢みてるんじゃぁ無いよね」
「心配要らない 直ぐに、わかるよ」
「なんか 怖いような プチ 変なこと、しないでよ 私、猫になんない?」
「それは、大丈夫 すずりちゃんを守るだけだから ただね すずりちゃんに、入ったり、出たりするのは、チッチが側に居ないとダメだし、24時間しかすずりちゃんの中に居られない。それをすぎると、戻れなくなるから、気をつけて すずりちゃんとは、共同体って言ってくれたよね」
「そうなんだけど プチを抱くことは、できないの?」
「それは、難しい 俺が、チッチに居る時は、チッチだけど、すずりちゃんに居る時は、自分を抱きしめて」
「何だか、よくわかんないね」
「もう、すずりちゃんから、出て行くけど、朝、チッチを側に呼べよ すずりちゃんと一緒にいくから、明日は、とにかく、すずりちゃんを、変な男から守るから」
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