2-7

 響先輩から、新居に遊びにおいでよと誘われていた。3月の末に式をあげていて、落ち着いたから、おいでよと言われた。


 私、まだ、お祝いもしてなかったから、行く前に聞いて、おトイレのマットセットを買って行った。色は、赤色系とだけ聞いていて、柄はお任せすると言って居た。悩んだ末、大きな薔薇の絵柄にした。


 長田の駅から歩いて10分ほどの賃貸マンションの5階だという。途中でカフェラテを買って、国道沿いなので直ぐにわかった。旦那さんは、出掛けて居ないからと言っていた。


「会わせたいんだけどね、すずりちゃんみたいに可愛いと、心奪われちゃったりすると大変だからね」と、言っていたので、響先輩独りのはずだ。


 エントランスのインターフォンで部屋の番号を押して呼び出すと、玄関のドァロックが解放される。エレベーターは2機ある大きなマンションだった。部屋に入ると、ダイニングの机に花が飾ってあって、窓が大きく明るかった。お祝いを差し出すと


「有難う まぁ 素敵な薔薇の花 私、大きな花が好きだから、嬉しいわ」


 テレビの横にウェディングドレスの響先輩とタキシードの旦那さんの写真と、二人の水着姿の写真が飾ってあった。


「西表島 きれいな海だったわよー 外国行くより安く済んだしね 海外みたいなもんよ 食事もおいしかったしね 良かったわー」


「そう 羨ましいなぁー 幸せそう 先輩 お部屋みても、なんかペァのものがいっぱいあって、新婚さんって感じ」


「うん 今年の初めから、一緒に住んでいるんだけど、式をあげた後って、やっぱり違うのよね 今は、思い切って、抱かれているんだっていう実感があるわ」


「そんなもんなんですか わからないですけど」


「そうね すずりちゃんも、そのうち、そういう時が来るわよ 早坂さんとは、その後どう? 進展した?」


「うん 時々、食事に行ったりとか まだ・・」


「なんにも、無いのかー 好みじゃぁ無い?」


「そんなこと無いんだけど、年上だし、大人すぎて、遠慮しちゃって・・」


「だったら、いっぱい甘えりゃいいんじゃぁ無い 向こうは、すずりちゃんのこと好きだって言っているんだから」


「ですよね でも、図々しい奴だと思われないかと 私、そういうの慣れてないから」


「ダメよ そんなバリャー張っていたら そのままのすずりちゃんと付き合いたいんだからね そういうのを私からしたら、お高く留まっているって言うんだよ もっと、向き合ってあげて、あの人に お付き合いしてダメと思った時ら、別れればいいんだし 私なんかと接しているように、気楽にね ごめんね、厳しい言い方して じっれったくてさー」


「わかりました 先輩の言うとおりかも」


「すずりちゃんは、純粋すぎるからね 冒険するつもりぐらいでね でも、雰囲気に流されちゃあだめよ くどいようだけど」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る