第四章

4-1 

 旅行の日からしばらく経っていて、その間会ってなかったが、久々に、舜のマンションに行くという約束をしていた。


「プチどうしょうか」


「どうって? なにを」


「あのね また 迫られたら」


「そんな このまえ、もう、任せてしまったんだろう」


「でもね 又 しちゃうと、ずるずる なっちゃうんじゃぁないかと」


「そんなことは 俺に聞くなよ わからないよ 女の気持は」


「そうだよね でも プチも一緒じゃぁないし 私が決めることだよね」


 今日は、ハンバーグを作ると私は、言っていた。途中、和牛の小間と豚肉の小間を買って行った。我が家のハンバーグはひき肉は使わないというのが、私が料理を教えてもらってからのやり方だ。お母さんも、そう教わってきたと言っていた。


 駅から、独りで向かって、マンシヨンの玄関ロビーの手前でインターホーンを使って、部屋番号を押すというシステムだ。部屋の人と話して、ロビーを開けてもらって、建物に入れる。エレベーター

降りると、舜が待っていてくれた。


 部屋に入るなり、抱き寄せられ


「待ち遠しかったんだ。旅行に行って以来だからね」


「うーん なんか恥ずかしくって あのさー 今日は、とびっきりのハンバーグだから」


「それは、楽しみだけど キッチンが狭くて、申し訳ないね」


「チョットね でも、大丈夫よ、何とかなるから 待っててね」


 料理を始めたけど、舜が側で見ていて


「恥ずかしいから、あっち行って居てよ じゃまだし」


「そう言うなよ なんか 手伝いでもって思って」


「いいよ それより ニンニク 強めが良い 匂いするのダメ?」


「ああ 多い目でいいよ 精つけなきゃ」


 気になること言われたけど、私は無視していたのだ。変な言い方だったけど、だって、今日はその気、無かったから・・。付け合せのマカロニのサラダと人参のグラッセもうまく出来た。お皿は、前に買いにいった私のお気に入りの白いお皿で端っこにバラの絵が描いてあるものに盛った。上出来だと思った。最後にクリームベースのソースをかけて


「出来上がり 特製ハンバーグ」


 食卓に並べると、舜がワインを用意していた。


「雰囲気的に白を用意したけど、いいかな ハンバーグおいしそうだし あっさりの方が良いかなって」


「べつに 私そんなのわかんないから 白でも赤でも」


「そーだよね こんなのは、雰囲気でいいと思うんだよ じゃぁ 乾杯」


 私は、乾杯より、おいしいって言ってよと思っていた。


「うーん うまい 肉の味もしっかりしている 今まで食べていたハンバークは何だったんと思うよ 肉汁も出て来るし、これは、一流だよ」


「そう よかった お口に合うか、心配だったんだもの」


「いや いつも、こんなの食べたいよ すずりは料理も上手だね」


「褒めてもらえて、うれしい 作った甲斐あったわ」


 食べ終わった後、お皿を洗っていると、舜に後ろから抱きしめられた。


「ゆつくり して行けないのか?」


「うん お父さんがいるから、晩御飯作んなきゃ」


「そうか 仕方ないよね」と、言って、しっかり抱いて、キスをしてきた。私は、それに応えたが、それ以上は・・。


 帰る時、駅まで送ってくれたが、私は、これで良いんだと自分に言い聞かせて、だって、ずるずるは嫌だったんだもの。  

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