第17話 その後~アメリ&ベルSide~ 俯瞰視点
「お母様が悪いのよ!! 全部お母様のせいだわ!!」
「貴方のせいよ!! 何もかも貴方が悪いのよ!!」
娘アメリと母ベルが、選択肢2を受け入れてから10日後。ハズオルエ領内の山岳にある、ボロボロの建物。その中では、今日も親子の怒声が響き渡っていました。
「お母様がわたしを止めてくれないからっ! こんなことになっちゃったじゃないのよ!! どうしてくれるのよ!!」
「貴方があんなことを言い出さなければ何も起きていないのよ!! アメリから始まっているんだからアメリのせいに決まっているでしょ!! どうしてくれるのよ!!」
訪れるのは食料の支給係が月2回だけという、人里離れた場所でヒッソリと暮らす羽目になったこと。こんな退屈な毎日が、一生涯続くようになってしまったこと。
その怒りをぶつける先がないため、どちらも相手のせいだと主張。そうして、
原因を作ったんだから責任を取って家事や洗濯をしろ!!
ちょっとでも、日々の生活が楽になるように――自分の負担が減るように。アメリとベルはここで生活が始まった瞬間から、このように争っていたのです。
「わたしのせい!? マエルが『形見を壊そうとしたから』って言ってたのを忘れたの!? あれがなければお姉様は我慢していたのよ!! お母様のせいじゃないのよ!!」
「その前にマエルは『ロゼのものを奪っていたから』って言ってたわ!! だからどっちも原因でっ! それが先にあったのだから貴方のせいよ!!」
「違う!! 形見のせいって言ってるでしょ!! このっ、わからずや!!」
「きゃ!? よっ、よくもやったわね!!」
我慢できなくなってベルへと平手打ちを行い、そうすればベルも平手打ちを行います。すると再びベルへと平手打ちを行い、またベルも平手打ちを行う。
「みとめろぉぉぉぉぉぉぉ!!」
「みとめなさいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
そういった出来事が5回繰り返されても、まだまだ2人の怒りは収まりません。
叩いて、叫んで、叩いて、叫んで、叩いて、叫んで、叩いて、叫んで、力尽きて倒れる。今日もまたすっかり日常となってしまった流れが発生し、それは明日も明後日も、続いてしまいます。
「お母様のせいよぉぉぉぉぉ!!」
「貴方のせいよぉぉぉぉぉ!!」
「しつこいぃぃぃ!! みとめろぉぉぉぉぉぉ!!」
「しつこいのは貴方よぉぉぉぉぉぉぉぉ!! みとめなさいぃぃぃぃぃぃぃ!!」
とても仲が良く、お互いを愛していた親子。そんな姿はもう、どこにもありません。
アメリと、ベル。犬猿の仲となった二人はこれからも、こうして生きてゆくのでした――。
〇〇
そして同時刻――。そんな2人を愛してやまなかった、父トムは――
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