第14話 再逆転 アメリ視点(2)

「期日に間に合わずごめんなさい。その謝罪がないどころか、こんな形で収めようとするだなんて。ここまで腹が立ったのは、生まれて初めてですわ」


 それは、本当だって一目で分かる……。

 だって……。こんなに禍々しい笑顔は、初めて見たから……。


「アメリ、それにベル。貴方達には、相応のお礼をさせていただきますわ。外出時には、細心の注意を払った方が良いと思いますわよ」

「わっ、わたし達に何かするってコトですか!? なっ、なにかあったら!! セレステ様がそう言っていたって言いふらしますよ!! それでもいいんですかっ!?」

「お好きにどうぞ。なにせこの会話を聞いている人は、それこそ独りもいないんですもの。何の意味も持たない証言になりますし、ふふふ」

「な、なんなんですかっ!?」

「もしかすると、一言も喋れない状態になるかもしれないんですもの。何も怖くはありませんわ」


 っ!! それって。それって……っ。


「殺す……。わたし達を殺すつもりなんですか!?」

「さあ、どうでしょうね? その時を、お・た・の・し・み・に」


 セレステ様は満面の笑みを浮かべて歩き出し、何を言っても無駄だった……。

 ごめんなさい! 許してください! と繰り返しても、


「今更謝っても遅いんですのよ、アメリ」


 さっきのわたしの台詞と、そっくりな言葉が返ってきて……。取り合ってくれなくって……。セレステ様の姿は、見えなくなってしまった…………。


「ど、どうしよう……。どうしよう……!!」


 どうすればいいの!?

 このままだと殺されちゃう!!

 どうすればいいの!?


「誰も来てくれないし……!! どうしたらいいの!? どうしよう!? なんでマエル様はああ言ったのになんで――そうだマエル様だ!!」


 マエル様に助けを求めたらいいんだ!! それに作戦が違う理由も聞かないといけないんだもんっ!! そうっ、そうだった!! マエル様のもとに行かないといけないんだ!!


「早くっ!! 早くいかないと!!」


 わたしは死に物狂いで走り出し、マエル様とお姉様がいる3‐Aに飛び込んで――


「え!? ランチを摂ったあと二人で早退した!?」


 ――会えなかったからわたしも大急ぎで早退して、まずはお屋敷に戻るっ! そしてお母様とお父様、それに念のために出来る限りの護衛をつけてっ! ザルテーラス侯爵家を目指したのだった!!

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