第8話 恐怖のお昼休み アメリ視点

「わたくしが今日まで行ってきた努力が、貴方のせいで無駄になった。フイにしてくれて、どうもありがとう」


 …………。結局、なにも閃かなかって……。校舎裏で待っていたセレステ様は、あれから4時間経ってもやっぱり笑っていて……。

 あの時よりもニコニコした笑顔で、カーテ・シーをされた……。


「各地で噂を立てたり、妹イジメの証拠を捏造したり。『絶対成功する』という貴方と夫人の言葉を信じて、お父様に見つからないようアレコレ動きましたのよ?」

「は、はぃ……。ぞ、存じ上げて、おります……」

「なのに、アレ。絶対成功するのでは、なかったんですの? どうなっていますの?」

「もっ、申し訳ございませんっ! 予想外の出来事が、発生してしまいましてっ! 計画が大きく狂ってしまったんですっ!」


 奪い取ったイヤリングをつけていたら、マエル様が送り主と会っていたコト。それが理由で追及されて、バレないように咄嗟に取り繕う必要があったコト。

 それらを、お伝えした。


「……何ですの、ソレ。予想外の理由は、誇らしげにイヤリングをつけていたから。貴方の行動が原因じゃないですの」

「え……。で、でも……。そんなコトがあるなんて、夢にも思わな――ひぃっ!!」


 チッと舌打ちが聞こえてきて、おもわず背筋が伸びてしまう。

 ごっ、ごめんなさいごめんなさい! 口答えしてごめんなさい!!


「わ、わたしのミスですっ、わたしの責任でした!! 反省っ、しています!!」

「……分かればいいですわ。で、どうするつもりですの? 当然、代わりの策を用意してくれるのでしょうね?」

「もっ、勿論です!! 今は浮かんでいませんがっ、必ず用意をさせていただきますっ!! それもっ! セレステ様のご協力が不要なものを用意します!! すでにセレステ様は動いてくださっておりますのでっ! 次は最初から最後までわたし達が行って! 最高のご報告をお届けします!!」


 協力してもらわないと、苦労するのは分かってる。でもそう言わないと、何をされるか分からない雰囲気なんだもん!

 こうする以外、ない……。


「…………そこまで言うのなら、あと一度だけ信じてあげましょう。お仕置きは、なしにしてあげますわ」

「ありがとうございます!! ありがとうござ――」

「ただし。一度ミスをした人の計画は、完全には信用できませんわ。そこで特別に、わたくしが添削をしてあげる。明日か明後日――それは流石に早すぎるから、明々後日までに作って提示するように。いいですわね?」


 監修されるのも、日にちを決められるのも嫌。でも……。この状況じゃ、断れない……。

 だから……。


「承知いたしました。その日までに、必ず用意をさせていただきます」


 わたしは即答をして……。だから……。


「お母様っ、大変なコトになっちゃったの!! 一緒に考えてぇぇぇぇ!!」


 放課後になったら馬車に飛び乗って、お屋敷に着くやお母様の胸に飛び込んだのだった……。

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