第15話 ザルテーラス侯爵邸内で アメリ視点
「お待たせいたしました。緊急のお話とは、いったい――」
「セレステ様にっ、外出時は気をつけろと言われたんです!! 恨みを買って狙われるようになったんです!!」
「この子はマエル様のご指示通りに動きましたっ!! けれど周囲に協力者の方々いらっしゃらなくってっ!! こんなことになってしまいましたのっ!!」
「協力してくださる皆様はどちらに行かれたのでしょうか!? このままでは妻と娘が最悪消されてしまいますっ! どうかお助けくださいませ!!」
応接室で待っていたわたし達は、マエル様が現れるや立ち上がって状況を説明した。
予定と全然違っててっ。よく分からない状況になって、大変な状況になっちゃったんです!
「おや? そうなのですか? ふむ、そんなことになってしまったのですね」
「そうなんですっ、なっちゃったんですっ!! セレステ様は見たこともないくらい怒ってるんです!!」
悪魔みたいな禍々しい笑顔、あんなの始めて見た……。笑い顔で体が震えたのは、初めてだった……。
「約束を破って散々小馬鹿にして、脅迫していたから……っ。セレステ様はっ、本気になってますっ!! 絶対に動きます!!」
「そんな風に狙われてしまっていたら、もう安心して外を歩けませんっ!! 外出が出来なくなってしまいますわぁっ!!」
「侯爵家の人間がそう決めてしまったら、我々に打つ手はございません……! ですのでマエル様、お力をお貸しくださいませ……!!」
立ち上がっていたわたし達は前のめりになって、対面のソファーを――ソファーに腰を下ろしたマエル様を見つめる。
あの人に対抗できるのは、マエル様だけなんですっ! ザルテーラス侯爵家の力を使ってくださいっ!
「……そうですよね。貴方がたは子爵家。侯爵家の人間に、自力では対抗できませんよね」
「はいっ!! マエル様っ! 軌道の修正を、お願い致しますわぁっ‼」
「マエル様……! 妻と娘の未来を、守りくださいませ……!」
「あの人はきっとっ、放課後になったらすぐ動き出します……! 時間がありませんのでっ、大至急お願いします……!!」
引き続き全員前のめりになった状態で、そろって胸の前で手を組み訴える。そうすると、っっ。よかった。マエル様は、穏やかな笑顔で頷いてくださって――
「うん、嫌だよ。君達のために動くつもりはないよ」
――え……? え…………?
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