第13話 誰もこない理由 マエル視点
「今は、午後の1時14分。だとしたら今頃、アメリはポカンとなっているだろうね」
カフェテリアで、ロゼと共にガレットを――ランチを摂っていた僕は時計を一瞥し、校舎裏がある方向を眺めた。
「ごめんよ、アメリ。現場周辺に仲間を配置する。あれは、嘘なんだよ」
校舎裏の周りには今、僕の手の者なんていない。そもそもこの作戦のために、動いてもらっている人は独りもいないんだ。
「つまり、目撃者は0。となると、再び立場が逆転してしまうね」
暴力を振るった、その証拠はないんだ。恐らく現在低姿勢になっているセレステは、それに気付いて息を吹き返す。
「理由がどうであれ、陥れようとしていたんだ。腹が立つよね?」
しかも。
「その前には散々小馬鹿にされて、煽られている。だからますます腹が立っているよね?」
ただでさえ本性は性悪で怒りやすくて、格下を軽視している人。そんな人に、ここまでのことをしてしまったんだ。
きっと、大変なことになってしまうだろうなぁ。
「アメリ。君は一応義妹になるのだから、何とかしてあげたいという気持ちはあるんだよ」
でも君は――君達は僕の大切な人を散々苦しめ、あの日一線を越えてしまった。だからそういう気持ちはあるのだけれど、動く気にはならないんだよね。
「アメリ。君達が何もしなければ、なにも起こらなかったんだ」
目の前に迫ってきている大きな穴は――墓穴は、自分達が掘ったんだ。
せっかく掘ったのだから、利用しないと勿体ないよね? どうぞそこに落ちて、大変な目に遭ってください。
僕とロゼはしばらく、離れた場所からその様を眺めているよ。
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