第7話 しまった…… アメリ視点

((やっちゃった……。どうしよう……。どうしよう……!?))


 ギリギリセーフっ。マエル様のおかげで上手に誤魔化せたっ。

 安心してホッとしていたわたしは、心の中で頭を抱えていた。


((全然セーフじゃなかった……っ。これじゃ3日後に訴えられない……!))


 ロゼお姉様にイジメられていた、可哀想な子。そうなれない! お姉様を性悪女にするコトもっ、同情してもらうコトもできなくなっちゃった!


((大変……どうしよう……。お母様が頑張って進めてくれていて、ずっと順調に進んでたのに……。せっかく、強力な味方まで見つけてきてくれたのに――味方!? そうだ!! 味方っっつ!! たっ、大変!!))


 2つ上の先輩、ニフェエル侯爵家のセレステ様。この方が協力者なのだけど、手を貸してくれたのは善意ではなく利害が一致したから。


「ロゼの評判を下げられる? なら、この手を貸してあげますわ」


 セレステ様は、社交界で手強いライバルとなる人――お姉様の失脚を望まれていて、そうするために捏造や噂の吹聴を手伝ってくださっている。

 あの方は、ホントは気難しくって気が短くって……。工作が無駄になったと分かり、その上この作戦が使えなくなると知ったら…………。攻撃、されてしまう。大変なことに、なっちゃう……。


((このコトをセレステ様が気付く前にっ、何とかしないと!! 急いで別の作戦を立てないと――ひぃ!!))


《大事な話があるわ お昼休み 校舎裏にきなさい》


 わたしの正面に――お姉様たちの後ろにニコニコ笑顔のセレステ様がいらっしゃって、お口がゆっくりそんな風に動いた!!


((あの方があんな風に笑っている時は……。ものすごく、怒っている時……))


 大変! もっと大変なコトになっちゃった!!


((どっ、どどどどどどどどどうしよう!?))


 どうすればいいの!? もうあの作戦は使えなくなっちゃったのに……。どうすればいいの!?


((どうしよう……。どうしよう……!))

「? アメリ、顔色が悪いよ? どうしたんだい?」

「っ、なんでもありません!! よっ、用事をっ、思い出しました!! マエル様っ、わたし教室に行きっ、向かいますっ! お姉様、またねっ!」


 ここだと落ち着いて考えられないから、1‐Dに駆け込んで自分の席に座って考え始める。

 どうしよう……。どうしよう……っ! どうしよう……っ!!

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