第18話カレン嬢に驚き…

「お待たせしました…」

「有り難う、下がって良いわ」

「……」

メイドは何も言わずチラッとルイーゼ夫人を見て、ルイーゼ夫人もメイドに軽く頷きメイドは頭を下げ屋敷の中へ戻った。

「あらっ、この紅茶美味しいわね!何処で買ったの?」

「…城下町に可愛いケーキのお店があるの知っている?」

「城下町に可愛いケーキのお店……あっ、思い出したわ最近新しくお店が出来たケーキのお店ね」

「ええ、そのケーキのお店で紅茶も売っていたの今飲んでいる紅茶はケーキのお店で買ったのよ」

「今度私も買ってみようかしら、そうだわ買い物の時ロバート様を借りても良いかしら?」

ピクッと紅茶が入ったカップの回りを両手で触っていた手が無意識に動き、ルイーゼ夫人はカレン嬢を睨むように見ていた。

「何故旦那様を貴女の使いの為に寄越さなくては成らないの?他の方を誘ったらどうなの?」

(学生の頃ユリウス様をお慕いしていますと言っておきながら他の男子と出掛ける姿を城下町で何度も見掛けた事があるのを知っているのよ。貴女に尋ねた事は無いけれど、今でも数名の男性と会っている情報は知って居るわ)

ルイーゼ夫人はメイド達が仕事休みで城下町へ遊びに行った先、男性とカレン嬢が一緒に歩く姿を見たと聞いた時から他のメイド達も仕事休みの時は城下町へ行き、カレン嬢を見掛けた時はメイド達同士で男性の特

徴等話しルイーゼ夫人に伝えていた。

(まぁ…メイド達は私とカレンで楽しんでいるのは分かっているけれど、それでもメイド達のカレンに関する情報には感謝しているわ)

「う~ん、他の皆は奥さんがいたり忙しい人ばかりなのよね~っ」

(奥さん?!カレン貴女結婚している人にも会っているの?それに私が言った事も否定しないで話しをするなんて……)

「……カレン、ユリウス様の事はもうなんとも思っていないの?」

「ユリウス様の事は今でも想いは変わらないわよ、あんな素敵な人は他に居ないもの、ユリーナ様から奪い取りたいくらい想っているわ」

「……」

コクンと紅茶を飲んだカレン嬢はルイーゼ夫人に声を掛けた。

「ルイーゼ、貴女に話しをしたかしら?私、ユリウス様の御屋敷でメイドとして働いて居るのよ」

「えっ!?働いて…カレン、貴女ユリウス様の屋敷で働いているの?」

「ふふっ、驚いた?そうよ私今、ユリウス様の側にいて幸せなのよ」

笑顔を見せるカレン嬢にルイーゼ夫人は驚くばかりでカレン嬢の想いに浸る姿をじっと見ていた。

「でも、明日ユリーナ様が屋敷へ戻って来るのよね…嫌だわユリウス様とお話しが出来なくなるわ」

「…カレン、ユリウス様と会話が出来る仲だったの?あの頃はお茶会が出来てもお話しが出来ないと言っていたから」

「いつの話しよそれ、あの頃は周りの女子にユリーナ様に邪魔されて会話が出来なかったって事で今は違うわ、私が屋敷でメイドとして働いている限りユリウス様をユリーナ様から奪い取る事も出来るかもよ」

ふふっ、と笑みを見せるカレン嬢にルイーゼ夫人は自分とロバート伯爵を巻き込まないで欲しいと思いながら、カレン嬢がユリウス侯爵を想う気持ちが変わらないだけでも安堵していた。



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