第15話友との再会
「旦那様、此方のケーキも美味しいですわ」
「え、そうかい?じゃあ一口くれないか?あ~ん!」
「ええっ、だ、旦那様周りの人達が見ています!」
「別に見ても良いよ」
「旦那様……」
真っ赤に頬を染めるルイーゼ夫人に一緒にケーキを食べるロバート伯爵が城下町へ買い物に来ていた。
「ほら、ルイーゼ、私にも一口、あ~ん!」
「クスッ…旦那様子供みたい」
サクッと一口サイズに切り取ったルイーゼ夫人はフォークに刺したケーキをロバート伯爵の口元へやった。
「あ~っ!お姉しゃんお兄しゃんにケーキをあ~んしてるよ、父しゃまと母しゃまみたい」
ビクッと身体が跳ね、テーブルの近くには抱っこしている小さな女の子と男性の側にいる男の子が立っていた。
「こ、こらっ、エミリー失礼だろう、すみません娘が失礼な事を……」
「いえ……え?ユリウス?!」
「えっ!?……ロバート?」
「ユリウス、久しぶりまさかここで会うとは……」
「ああっ、ロバート久しぶりだな二年ぶりか…?!」
「そうだな…お前の側にいるこの子達は……」
「紹介が遅れたな、長男のショーンと次女のエミリーだ二人とも父様の友達に挨拶をして」
「…こんにちは、ショーンと言います」
ペコッと頭を下げ恥ずかしそうに挨拶をした長男のショーンそしてユリウス・ブランシェに抱っこされキョトンとした顔を見せるエミリー
「ほら、エミリーも挨拶してごらん」
「はい、父しゃま、エミリーです三歳です!」
ニコッと笑顔を見せるエミリーはユリウス侯爵の妻ユリーナ夫人に似ていた。
「ふふっ、ユリウス様とユリーナ様に似ていますね」
クスクスと笑顔を見せるルイーゼ夫人はハッ!と我に返り慌ててユリウス侯爵に頭を下げていた。
「す、すみませんユリウス様ご挨拶が遅れまして…」
「いや、気にしないでくれ…ロバート彼女はお前が以前話していた……」
「ああっ、妻のルイーゼだよ」
「そうか君があのルイーゼさんか…」
「え?」
ルイーゼ夫人はユリウス侯爵が自分に向ける笑顔にドキッとして頬を赤く染めていた。
「……ユリウス、私の妻にその笑顔は反則だが…それにルイーゼもユリウスに見惚れて居るようだが…」
じーっとルイーゼ夫人の顔を見るロバート伯爵にルイーゼ夫人は慌て出していた。
「私はロバート様の笑顔が好きなんです!」
「……っ、ル、ルイーゼ…」
周りのテーブルに数名の女性客がルイーゼ夫人の大声に驚いた姿を見た後、何人かの女性がユリウス侯爵とロバート伯爵を見て頬を染める女性達がいた。
「あっ……す、すみません…恥ずかしい……」
「ははは、ルイーゼの愛が伝わって嬉しいよ」
「……だ、旦那様…」
ニコニコと笑顔をルイーゼ夫人に見せるロバート伯爵を見ていたユリウス侯爵は子供達に声を掛けた。
「さあ、私達もテーブルに行こうか、ショーンにエミリー」
「…はい」
「あい、エミリーお姉しゃんと同じケーキが良い」
「はは、そうか、じゃあまたなロバート」
「ああっ」
ユリウス侯爵はロバート伯爵とルイーゼ夫人に挨拶を終え、子供達と奥に空いているテーブルの席に着いた。
「驚いたな…まさかユリウスが子供達を連れてケーキを食べに来るとは思わなかったよ」
「……旦那様、気に成ります事があるのですが…」
「ん?何?」
「ユリウス様が私に向かいまして『あのルイーゼさんか』と言われて居ましたが…何の事でしょうか?」
「えっ、ああっ、気にしなくて良いよ……」
「気に成りますが、旦那様」
「……あ…ははは…」
じーっとロバート伯爵を見るルイーゼ夫人に「はぁ…」と小さく息を吐いた。
「学生の頃君と初めて会った時ユリウスに気になる子がいると話した事があって、どんな子なんだとユリウスから聞かれて…『何も無い所で良く躓く可愛い子』だとユリウスに話しをしたのだが……」
「…その何も無い所で躓く子は……誰ですか?」
「……私の目の前にいる人です…」
「……」
ニコッと不敵な笑顔を見せるルイーゼ夫人にロバート伯爵はビクッと身体が跳ね見えない汗が出た。
「旦那様、前から欲しい物があったの良いな~と思いまして見ていましたわ」
「……後で買いに行こうか……」
「嬉しいですわ旦那様」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。