第2話再会
「はぁ、今日も会えなかった……」
ため息を吐くルイーゼは、数週間前に男子にぶつかり倒れそうに成った時に助けてくれた男子にお礼を言うため休み時間彼を探し回っていた。
「学園内だから直ぐに見付かると思って居たのに、捜している時は中々見付からないものね…私達と同級でも無いみたいだから上級生の教室に行かないと駄目なのかな……上級生の教室何て行けないから校内をウロウロすれば会えるのかな…でも余り長引くと彼に会った時、声掛け出来なくなるかも……」
「ふぅ」と息を吐き草木の側にあるベンチに腰を降ろした。
パラッ…と座ったベンチの隣から本を捲る音が聞え、疲れた顔で隣を見て目を見開いていた。
ルイーゼが歩き疲れ、ベンチに座った隣にはルイーゼが探し続けた男子が静かに本を読む姿に驚き、思わずバッと立ち上がった時ヨロッとバランスを崩し横へ倒れそうに成った。
「きゃっ!?」
バサッ!と地面に落ちる本の音に身体を支えて貰っている事に気が付いた。
「危ないな…急に立ち上がると駄目だよ」
「えっ……!」
目の前には手を持ち支える彼に顔を真っ赤にして慌てたルイーゼはパッと彼から手を離し頭を下げて謝っていた。
「す…すみません、隣に座っているとは知らなくて私……」
「クスッ、そのようだね大きなため息が僕にも聞えたからね」
「ええっ!?」
笑顔を見せる彼にドキッとするルイーゼは、地面に落とした本を拾いパタパタと汚れを落とす彼を見て(大事な本を落としてしまったわ…)ルイーゼは彼の前で思いっきり頭を下げた。
「す、すみません、大事な本を落としてしまって」
「気にする事無いよ、本を落としたのは僕のせいだから」
「でも……」
頭を下げていた顔を勢いで見上げたルイーゼはフラッ…とまた倒れそうになり彼もまたルイーゼの手を掴み今度は両手を掴んでいた。
「ご、ごめんなさい…いえ、すみません!」
真っ赤な顔で謝るルイーゼに彼は困った顔で小さく微笑んでいた。
「……君みたいな子は初めてだよ、こんなに落ち着きが無いなんて」
「……いつもはこんな筈では無いんです…」
真っ赤な顔で瞼をギュッと閉じ少し涙を浮かべそうに落ち込むルイーゼに、ごそごそとズボンのポケットからハンカチをルイーゼの手に渡していた。
「えっ、あの……」
「明日もこのベンチで会えるかな?」
「あ…は、はい!」
クスッと笑みを見せる彼はハンカチをルイーゼに渡して側を離れようとした。
「あっ、僕の名前はロバート・ホルン良かったら君の名前を教えてくれるかな?」
「……私は……ルイーゼ…ルイーゼ・イースタ…」
「ルイーゼさんか良い名前だね、また明日会おう」
「……」
本を片手に持ち歩く姿をじっと見ていたルイーゼはハンカチを顔にやり真っ赤な顔で笑顔が止まらなかった
「あっ!私あの時のお礼言うの忘れていた」
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