第11話不安な気持ち②

先にテーブルがある場所に着いたルイーゼ夫人と母親は、メイド達が新たに用意した椅子と紅茶にお菓子がテーブルの上に置かれ、少し遅れてロバート伯爵とカレン嬢が一緒に歩き、カレン嬢がロバート伯爵の腕を組みその姿をルイーゼ夫人は見て、胸がぎゅっと締め付ける感じを受けていた。

「あら、あら、腕まで組んでまるで恋人みたいね」

「ふふふ、おば様とルイーゼを見て真似をしましたの」

「……」

ルイーゼ夫人は、カレン嬢の積極的な行動は相変わらずだと思い、ロバート伯爵の顔をチラッと見たルイーゼ夫人はロバート伯爵と目が合いルイーゼ夫人は顔を逸らした。

(どうしてロバート様はカレンと腕を組んでいるの?お義母様も笑顔で二人の事を恋人みたいと言って…)

「……カレンさん、腕を離して下さい椅子に座る事が出来ません…」

「えっ、あ、ごめんなさいわたくし余計な事を…」

カレン嬢はロバート伯爵の腕から手を放し、母親が座っている隣の椅子に腰をおろした。

「ロバート、カレンさんに失礼よ、良いじゃない腕を組んだくらいでルイーゼさんは怒りませんよ!ねぇ、ルイーゼさん」

「えっ……」

ルイーゼ夫人は何も言えず黙ったままで、その様子をロバート伯爵がルイーゼ夫人の頬を手で触っていた。

「だ、旦那様!?」

「ハハハ、ルイーゼが変な顔をしていたからね触ってみたく成ったんだ」

「……っ」

ルイーゼ夫人は顔を真っ赤にしてロバート伯爵が気に掛けてくれた事に笑顔を見せていた。

「…仲が良いのは良いことだけどね……」

ロバート伯爵がカレン嬢に関心を持たない事に母親はため息を吐き、二人の様子を見ていたカレン嬢は羨ましく思い、じっとロバート伯爵とルイーゼ夫人の姿を眺めていた。


「ルイーゼ、今日貴女に会えて良かったわ」

「……私もよカレン」

ロバート伯爵の母親とカレン嬢が帰宅するとの事で馬車の前で二人に挨拶をしていた。

久しぶりに会えた親友のカレン嬢に、ロバート伯爵に寄り添う姿を何度も見ていたルイーゼ夫人は、彼女との再会を素直に喜べなかった。

「ロバート様、今日は楽しかったですわ。久しぶりに会えまして嬉しかったですわ」

「私も会えて嬉しかったよ」

「ロバート、なんなのその顔は笑顔で言わないと駄目でしょう」

「…何故笑顔なのです?」

「久しぶりに会ったのよ笑顔を見せるのは当たり前でしょう」

「……」

「ふふふ、おば様ロバート様が困っていますわ」

「ごめんなさいねカレンさん、無愛想な息子で…そうだわ今度わたくしの屋敷で御食事会をしましょう」

「まあっ、嬉しい!おば様の屋敷で御食事だなんて、ルイーゼも一緒なんでしょう?」

「え…」

「ルイーゼと久しぶりに御話しがしたいわ。ねっ、一緒に御食事しましょう、ロバート様御食事御一緒しては駄目ですか?」

「カレンさんとの御食事を駄目だなんて言うわけないわ、ねぇ、ロバートにルイーゼさん」

「…」

「…」

母親がどうしてもカレン嬢と一緒に食事を進める姿を見ていたロバート伯爵は、小さく息を吐きルイーゼ夫人に尋ねていた。

「ルイーゼ…どうする?」

「えっ、どうするって言われても…旦那様が良いのでしたら……」

「ふふ、決まりね!ロバート後で日取りを知らせるわね、楽しみだわ」

「わたくしも楽しみですわ、ロバート様と御食事ができるなんて、有り難うルイーゼ」

「……」

ルイーゼ夫人はカレン嬢が何故ロバート伯爵の名前を出すのだろうかと、胸の内がざわっく感じでルイーゼ夫人は、カレン嬢とロバート伯爵の母親を乗せた馬車を見送った。

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