第5話信じる心
学園内にあるベンチで会話が弾むロバートとカレンの様子を一人見ていたルイーゼは何故カレンが一緒にいるのだろうと、ロバートと楽しむ姿に嫉妬を感じていた。
「あれ、ロバート様手に何を持って居るのですか?」
「ああっ、ルイーゼの手作りクッキーを貰ったんだ」
「ルイーゼの手作りクッキー…ですか?」
チラッとルイーゼの方へ顔を向けたカレンはロバートにクッキーを自分にもとお願いをしていた。
「ロバート様、わたくしにも一枚クッキーを頂けますか?」
「えっ!?」
カレンがロバートにクッキーを自分にもと言った事にルイーゼは一枚だけ残されたクッキーをロバートが食べてくれると信じていた。
「…ごめん、このクッキーは君にあげる事は出来ないよ、ルイーゼが僕の為に作ってくれたお菓子だから」
「ロバート様…」
ロバートが顔をルイーゼの方へ向け笑顔を見せるロバートにカレンは下を向き二人の関係を尋ねていた
「……ルイーゼとロバート様はいつから…」
「最近かな?ルイーゼが僕を探していたみたいだったから偶然このベンチで会い、それから何度も会う内に僕の方からルイーゼと交際の話しを持ち掛けたんだ」
「そうですか……」
「カレン?貴女に声を掛けたけどユリウス先輩の方へ急いで行く日が何日も続いたから、話しが出来なかったのごめんね…」
ルイーゼは俯くカレンに声を掛けると、今まで俯いていたカレンは顔を上げニコッとルイーゼの方へ笑顔を見せた。
「良かったじゃないルイーゼ、いい人に巡り会えて恋愛に関して疎いから彼氏は出来ないと思ったわ」
「うと……ひどーいカレン」
「ふふっ、私も頑張ってユリウス先輩の追っかけをするわロバート様、今日はお話しができ楽しかったですまたお話し相手をしてくれますか?」
「ああ…僕で良かったら」
「良かった、じゃあねルイーゼ、ロバート様お邪魔しました!」
ベンチから離れたカレンは二人に手を振り二人の元を去って行った。カレンの後ろ姿を見るロバートにルイーゼは声を掛けた。
「……カレンの事が気に成りますか?」
「えっ、気には成らないけど明るくて楽しい子だと思っただけだよ、どうして?」
「……カレンとお話しをしていますロバート様は楽しそうで……私…」
俯くルイーゼの姿にロバートはそっと頬に手をあて、触れるような口付けをルイーゼにすると真っ赤な顔でロバートを見つめ、ギュッとロバートはルイーゼを抱き締めた。
「何を気にして居るのか分からないけど僕が好きな人はルイーゼだけだよ」
「ロバート様……」
ルイーゼはロバートが自分だけを好きだと言ってくれただけで、今までロバートとカレンが楽しく会話をする姿が薄らぎ、今自分を抱き締めてくれるロバートの言葉を信じた。
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