第3話二人だけの時間
「はあ、はあ……」パタパタ…と学園内を走る一人の女子がいた。
「ロバート様!」
「ルイーゼ!走るとまた転ぶよ」
「大丈夫で…きゃっ!?」
ガクッと石に躓き倒れそうに成ったルイーゼの身体をロバートが受け止めた。
「ほらっ、言っただろう君は慌てん坊さんだから走って来なくても良いと僕は君に話したよ」
ロバートの前に倒れそうに成った身体を支え走って来ないようにとルイーゼは注意を受けていた。
「…ごめんなさい、でも早くロバート様の元へ行きたくて……それにまた女子に声を掛けられると思って」
「この前の女子は僕のクラスメイトで授業の移動が代わったと知らせに来ただけだよ」
「…でも……」
ふぅ…と困った顔でルイーゼの手をギュッと握り締め「じゃあ、僕もルイーゼに聞くよ朝校門の前で男子から声を掛けられただろう?誰かな?」
「えっ!あれは私がハンカチを落としてしまって拾ってくれたんです。もう、ロバート様意地悪しないで下さい」
「ふふっ、これでルイーゼと一緒だね」
ぷうっと頬を膨らませ頬を染めるルイーゼに、クスッと笑いそのまま手を持ちベンチの方へとルイーゼにエスコートをした。
「お嬢様、ベンチの確保を致しました。一緒に座ります事でお許し下さい」
ルイーゼの手の甲に口付けをするロバートに真っ赤な顔で微笑むルイーゼ…二人はあの日、涙目に成っていたルイーゼにロバートはハンカチを渡しまた会う約束をした。ルイーゼはロバートと初めて会った時に助けて貰った事に改めてお礼を言った後、二人はいつものベンチで会うようになり、そして恋愛へと進む事に成った。
「ルイーゼ、さっきから気に成っていたけど手に持っている手提げ袋はなんだい?」
「えっ、あ…初めて作ったお菓子なの料理長に教わったけど……」
ガサガサと手提げ袋から何個か入ったお菓子を透明の袋に入れ、赤いリボンで結びベンチの隣で座るロバートに渡していた。
「ルイーゼの手作りクッキーだね!有り難う食べても良いかい!?」
「えっ、ここで?」
「うん、袋から見えるから食べたく成ったよ」
「……ど、どうぞ…」
ルイーゼは真っ赤な顔でチラッチラッとロバートが一枚のクッキーを食べる姿を見ていた。
「うん、美味しいよルイーゼ初めて作ったとは思えないよ」
「……お世辞は言わないで…」
「お世辞ではないよ、ほらっ、あ~んしてごらん」
「あ!?」
ルイーゼは隣に座るロバートに後退りをしたように見せたが、『食べてごらん』と進めるロバートに負け、ルイーゼはロバートの手からクッキーを一枚パクッと食べた。
「!美味しい!!」
「クスッ、味見はしなかったのかい?」
「…綺麗にできたクッキーはこれだけなの」
「僕が最初の毒味だね!」
「え~っ、ロバート様ひどーい」
「はははは、ごめん、ごめん」
「ルイーゼ?!」
「えっ!」
二人が座るベンチから離れた場所で一人の女子が歩きルイーゼに声を掛けた。
「カレン!……」
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