ギルド結成編
第45話 ギルド結成
オレとかなでが恋人になった日から、数日が経過していた。
かなでの体調にどうしてもムラがあったので、今日は恋人通しになって以来初めてのデートの日だった。
無理はしなくてもいいと伝えてあるが、デートのために体調は整えるとのことだったので恐らく来てくれるはずだ。
「イザナくーん! お待たせっ!」
オレが待ち合わせ場所で待っていると、かなでが走ってやってきた。
「やあ、かなで。今日は体調大丈夫か?」
アバター越しではあるが、今日は顔色も良く元気そうに見える。
「うん、今日は元気だよ! どこ行こっか?」
今日は特に予定を決めていなかったが、あまり激しい内容は良くないと思い、ちょっと有名な小洒落たカフェに行くことにした。
「わぁ! 見て見て、可愛いメニューがいっぱいあるよ〜」
お店に着いてメニュー表を開きながら、目を輝かせるかなでは本当に楽しそうだった。
(……ここを選んでよかったな)
オレたちはいくつかのデザートをシェアして食べることにした。
***
「——そう言えば、イザナくん聞いた?」
そうかなでから切り出されたのは、お皿の上に乗っているデザートがあと少しで無くなりそうになった時だった。
「ん? 何を?」
「噂で聞いたんだけど、トップギルドの精鋭プレイヤーたちで『十帝評議会』って名前の組織を作ることにしたんだって」
「『十帝評議会』? プレイヤーたちが勝手に作り始めたのか?」
「ううん。とあるプレイヤーに運営から直接連絡が来て、組織するように言われたんだって」
「ふうん。名前からしたら十人のプレイヤーから構成されてるって感じなのかな?」
「そうみたいだよ。イザナくんに声がかかってないのがすごく不思議なんだけどね」
「オレは声がかかっても、正直興味ないからな……」
『十帝評議会』のメンバーについては、かなでが知っているのは二人だけらしい。
———————————————————————
☆【十帝評議会】
序列第五位:[剣聖]レインハーツ
序列第七位:[獅子王]レオン———————————————————————
「まぁ、今の段階じゃ運営も何がしたいのか分からないよな……」
「うん……あのね、イザナくん」
かなでが改まった態度になり、少し緊張する。
「うん? どうしたの?」
「イザナくんはギルドを創ったりはしないの?」
「ギルドかあ……」
ソロプレイを主体にしているオレにとって、ギルドは邪魔になるものにしか思えなかった。
「そう言えばかなではギルドに入ったことあるの?」
「ううん……いずれイザナくんが創るかもって思ってたからそこに入ろうかなって、勝手に思っちゃってた」
そう話すかなでは、ギルドを創って欲しそうに語っていた。
(かなでと一緒に過ごせる時間は、いつまで続くかは分からない……なら、かなでがしたいようにしてあげるのが一番かもしれないな)
オレはそう思った。
「ギルド……創ろうか! オレとかなでと……後はルイやほむら、タケルたちも呼んでみよう」
この返事にかなでは嬉しそうにしていた。
「じゃあ、みんなにメッセージで伝えるね」
かなでは早速、みんなにメッセージを送っているようだった。
「あとは、ギルド名だよな」
自慢ではないが、オレはネーミングセンスのかけらもないのだ。
「かなではいい案あったりする?」
「うーん……イザナくんの職業って【黒夜ノ覇王】だったよね?」
「うん、そうだけど……」
オレはかなでにだけ、自分の職業について伝えていた。
「私ね、夜空ってイザナくんみたいだなって思ったの」
「——え?」
「この間、その……初めてキスした時に、綺麗に輝いていた夜空と星が私の中でとても特別で……。イザナくんがいてくれるから、私も……私たちも輝けるんだって」
かなでは顔を赤らめながらそう答えた。
「空と星をイメージした名前にしようとしてるの?」
「うん……。【
「【
オレはこの名前にすごく好感を覚えた。
「あっ! ほむらちゃんとルイくんから返事きたよ! 夕方来てくれるって」
「おお、じゃあ夕方までは二人の時間を堪能しよう」
かなでの体調を気遣いながら、オレたちは初デートを楽しんだのだった。
***
夕方になり、デートも終盤になった頃……ほむらとルイがもうすぐ合流する予定の時間となっていた。
「まだお別れの時間じゃないけど、今日はありがとうな」
「ううん、私の方こそ。今日は……ううん今日もすっごく楽しかった」
喜ぶかなでの姿をあまりにも愛おしく感じたオレは、ついつい唇を重ねに行ってしまった。
「んむっ……イ、イザナくん……ここ外だよ?!」
「ごめん……かなでが可愛すぎて、つい……」
「もぉ……イザナくん……ちゅーもっとしよ?」
——ダメだ可愛すぎて反則すぎる。
オレたちは少しずつ激しく重ね合い、次第にお互いの唾液を交換し合うようなキスを繰り返した。
「ハァ……ハァ……これ以上は……ダメ。色々我慢できなくなっちゃうから」
耳まで真っ赤にしながら、かなでが恥ずかしそうにそう話した。
「う、うん。たしかにこれ以上はやばいな」
本音を言えばもう少ししていたかったが、かなでの言う通り心臓が飛び出そうなくらいドキドキしていた。
「あ、いたっす! イザナくん、かなでちゃんお久しぶりっす!」
「かなで〜! 元気にしてた? あれ……何だか顔赤いけど、体調悪いの?」
約束の時間だったのだが、急に現れた二人にびっくりしてしまった。
かなでも同じく慌てた様子で、首を横に振りながら『何でもないよ』と話していた。
「そう言えば、ギルドの名前は決まったんすか?」
ルイはギルド創設に大興奮と言わんばかりに、オレに聞いてきた。【
「あぁ。かなでと決めたんだけど【
「おお、さっすがかなでちゃんっす! これからよろしくっす、ギルドマスター!」
「あぁ、よろしくな」
オレはルイと拳を合わせあった。
「ところで、イザナお兄ちゃん。タケルは?」
ほむらは一人だけ揃っていないことで、少し心配そうに聞いてくる。
「いや、タケルからは返事が来なくて……」
もうタケルは来ないのかもしれない……。
そう思っていると、遅れてタケルが集合場所にやってきたのだった。
「すまない、遅くなって。俺もギルドに入りたいんだ!」
——こうして、最初にパーティーを組んだ……オレ・かなで・ルイ・ほむら・タケルの五人でギルド【
***
そしてその日の夜は、第9階層のレイドボス戦が行われる予定だった。
ただ、オレはレイド戦には参加せずとある場所で黙々と狩りを続けていた。
——狩って狩って狩り続けて……ついに。
「シュナ……ようやく辿り着いたぞ」
『お疲れ様です、マスター。レベル100になりましたね』
シュナから言われていた、真実を知るためにオレは必死にレベリングしてきたのだった。
「……で、真実ってのは何なんだよ?」
『真実を話す前に、まずは連れていきたいところがあります』
シュナがそう話すと、オレの目の前にワープゲートが出現した。
「ここに入れってこと?」
『ええ。そこで真実を話します』
シュナのことなので、危険はないと分かっていたが、どうしても身構えてしまう。
オレは意を決してワープゲートに入った。
そして——ワープゲートの先には………。
[第30階層:魔神王の城]そして、目の前には【オンラインNOW!】のラスボスであるアイヴィス・ヘルゴートがいたのだった。
【あとがき】
今回も読んでいただきまして、ありがとうございます。
イザナたちによって、ギルド【
そして、レベル100に到達したイザナの目の前に現れるラスボス、アイヴィス・ヘルゴート。
シュナから語られる【オンラインNOW!】の驚きの真実とは?!
次回、ついに真実編が始まります!
良ければ、評価・ハート等いただけると嬉しいです。
オンラインNOW! 月夜美かぐや @kaguya00tukuyomi
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- 与十川 大 (←改淀川大新←淀川大)元は淀川大でしたが、類似の筆名の方がいらしたので、変更しました。ちなみに改と新で挟んだものは急場しのぎの一時的筆名です。たびたび変えてすみませんm(_ _)m 書き溜めている拙文を推敲して投稿したり、新作を作って投稿したり、いろいろと取り組んでいます。 楽しんでいただけるモノを作るのがモットーですが、エログロ・残虐には否定派です。 ジャンルでは、現代ミステリー、SFミステリー、現代ドラマが多いです。 作風では、シリアス系、エンタメ系、コミカル系、ふんわり系といった感じです。 文芸作とまではいきませんが、従来型小説でありながら、スマホやPCでも読みやすい物をお届けできればと思っています。 よろしくお願いいたします。
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