第21話 傲慢のプライダ[第2階層編]
【大罪シリーズ】イベントボス《傲慢のプライダ》。
オレはかつての【オンラインNOW!】では、圧倒的に人気の高かった《強欲のグリーディア》を当然のように選択した。
当時の情報で、レベリングがこの先難しくなるのが、分かっていたからである。
だが、今回は《傲慢のプライダ》を選択した。
レベリングは、ログインしっぱなしという特殊な状態で時間的余裕もあるので、どうとでもできると確信していたからである。
まあ、実際はそれ以上に《傲慢のプライダ》の落とす防具やレア装備アイテム"傲慢の耳飾り“が何としても欲しかったというのが本音だ。
○傲慢の耳飾り(D)
→取得経験値が半分になる代わりに、モンスター討伐時に稀にステータスポイントを+1獲得することができる。
「さーて《傲慢のプライダ》さんよ。オレのためにレアアイテム落としてくれよな。」
イベントボス自体はパーティーでの戦闘推奨だが、物理職である今回のオレは簡単にパーティーに組み入れてもらうことはできないだろう。
なので、ソロで挑むことにした。
○傲慢のプライダ(レベル20)
→死神のような見た目に漆黒の衣を纏う。大きな鎌で素早い攻撃をしてくるため注意。
【注意】:物理攻撃威力半減。魔法攻撃威力2倍。
「うわ……相性最悪だな。これを連戦するのはきついな。」
そして今までオレを助けてくれていた、スキル《マナコントロール》も今回ばかりは役に立たない。
【スキル】
☆マナコントロール
→MP(魔力)を使用し、自身のMATK(魔法攻撃力)をATK(物理攻撃力)に加算する。
※使用中は1分間につきMP(魔力)を1000消費する。
1分間にMPを1000消費する。
つまり最長12分間しか持たないのだ。
1撃で敵を屠るには十分だが、連戦するにはかなり不安定なスキルになってしまう。
とりあえず装備を"アイアンソード"から"牛魔王の黒剣"に変え、挑んでみよう。
ーグゥゥゥゥゥ。オマエハテキカ?
「は?モンスターが喋るのか?こんな設定前にはなかったよな?」
ーオマエハテキカ?
「うるさいな。敵か味方かなんか関係ないっての。」
ーカンケイナイ?
「あぁ、よこせよ!レアアイテム!」
そしてオレは狩って狩って狩って狩って狩って狩って狩って狩って狩って狩って狩って狩りまくった。
♢
ただひたすらに狩り続ける。
レアアイテムもすでに入手したが、経験値がそこそこ良かったことからオレは入手後も狩り続けた。
そして2週間ほど経った頃、
ー【傲慢のプライダ】累計討伐数が1万を超えました。ユニークスキルが贈られます。
☆獲得ユニークスキル《
【
→自身でオンオフの切り替え可能。取得経験値が0になる代わりに、討伐の際に一定量のステータスポイントを獲得できる。
もしかするとスキル以外の使い道も?
「こんないいスキルくれて太っ腹だな。スキル以外の使い道?はよく分からないけど。」
そこから更に1週間【傲慢のプライダ】にこもりきった後、オレはフレンドメッセージが届いていることに気付いた。
「あれ?かなでからだな。」
それは転職クエストを無事に終えることができた報告だった。
「これはお祝いしに行かなきゃだな。」
オレはようやく【傲慢のプライダ】のイベントボス専用の場所から転移し、《農耕の街グランディア》へと戻った。
♢
「あっ、イザナくん!久しぶり。」
「やあ、かなで!転職クエストおめでとう。パーティー組んでやったのか?」
「ううん、時間かかっちゃったけど1人でクリア頑張ったよ〜。」
えっへんと自慢げに語るかなでに対して、回復職の転職クエストは本当に難易度が高いので素直にすごいと思った。
「かなでなら【
「うん、このまま頑張ってみるね。使えるスキルもそれなりに増えたし、今まで以上にみんなの役に立てると思うから。」
その様子はかなりやる気満々だった。
「ねえ、それよりイザナくんは……なんか見た目黒くなったね。」
実は防具を一新していたため、見た目が黒っぽくなりすぎていた。
○傲慢の黒上衣(D)
→《傲慢のプライダ》の装備。DFE(防御)+100、MDFE(魔法防御)+100
○傲慢の黒下衣(D)
→《傲慢のプライダ》の装備。AGI(素早さ)+200
【セット効果】
《傲慢のプライダ》黒上衣と黒下衣を合わせて装備すると発動。HP+1000。
「あはは、イベントボスで手に入ったから付けてみたんだけど……どうかな。」
自分でも控えめに言って、ダサい方な装備だと思っていたがかなでは、
「かっこいい……よ?」
と顔を赤らめてそう言ってくれた。
やっぱかなでは天使だな、うん。
「ありがとう。かなではこれから時間あるか?」
「うん!でも、狩りとか採取系は今日はお休みしたいかな。転職クエストでずーっとしてたから、さすがに疲れちゃって。」
「いや、そうじゃないよ。お祝いしに行こう。かなでの転職クエストが無事に終了したお祝い!」
かなではものすごく嬉しそうに、にっこりと微笑み
「うん!いくっ!」と答えた。
「じゃあ有名なスイーツのお店にでも・・・。」
と、オレが話している途中で、システムからメッセージが入った。
ーフレンドからメッセージが届いています。
「ん?イザナくん?」
「ごめん、ちょっとほむらからメッセージが届いたみたいで……なんだこれ?」
そこにはたった一言、
“助けて……。"
という文字が書かれていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます