第2階層編
第20話 農耕の街グランディア[第2階層編]
【世界クエスト】の受注を承認したオレは、リーシャさんに必ず仇をとると誓い、第2階層である《農耕の街グランディア》へとワープした。
《農耕の街グランディア》
ここはその名の通り、農業に特化した街になっていて、美味しい果物や野菜の料理のお店がたくさんあることでも有名な街だった。
また娯楽施設があまりにもないとの理由から、備え付けられることとなった大闘技場では、第2階層から開放された PVP(プレイヤー対プレイヤー)を実施する場となっており、プレイヤー・NPC共に観戦できるようになっていた。
オレはワープをしてすぐのところに、かなでが1人で立っているを見つけた。
「あれ、かなで?みんなと先に行ったんじゃ?」
「あっ、イザナくん。」
かなでは手をフリフリしてくれた後、みんなの行き先について説明してくれた。
「タケルくんは、第1階層の大型ボスクリアの指示を出してたと思われて、トップクラスのβテスターさんたちに実力を認められて連れられていったの。」
やはりそうなったか……。
いや、実際は自身が悪目立ちしないため、そうなるように仕向けたので当然か。
「あと、ルイくんとほむらちゃんはPVPが気になるからって、あの大きな闘技場に行っちゃった。」
おいおい、いきなり行ったのか。
PVPをするには色々と準備するのが先だろ?まぁ、どのゲームの世界でもPVPは人気のコンテンツだから、気持ちは分からなくはないけども……。
「かなでは行かなくてよかったのか?回復系だから参戦は難しいだろうけど、観戦はできるだろ?」
かなでは首を横に振った。
「私はそういうのにあまり興味なくて。それにせっかくの新しいエリアだから、イザナくんさえ迷惑じゃなかったら一緒にまわりたかったの。だめ……かな?」
あぁちくしょう可愛いな。
もちろんいいですとも!
「一緒にまわろうか。せっかくだし、色々とクエストをしながら観光しよう。」
オレはその日から、プレイヤーが活発に動く時間帯はかなでと一緒に行動し、様々なクエストを攻略していった。
もちろん夜の時間帯はひたすらソロでレベリングに明け暮れた。
♢
数日もすれば、オレはレベル10に到達し転職クエストを受けることができるようになっていた。
もちろんそんなものはササっと終わらせてやった。
上位職業である【
○【
→一般職業の1つ。レベルが20になると上位職業である【
転職の際に新しく獲得したスキルも増えた。
☆【
→気配を抑え、プレイヤーや敵から認識されにくくなるスキル。気配察知系のスキルを使用されると強制的に解除される。
これは少し使い所が難しいように思えるが、まぁとりあえず【
かなでもレベルは9になったらしく、次の一般職に向けて相談があると、今日はカフェでお茶しながら話していた。
「私が目指している【
「あぁ。転職クエストは職業専用で手伝えるところも少ないから、自分で頑張るか同職の人とパーティーで攻略するかの2択だな。」
「そうなんだ……。とりあえずは1人で頑張ってみようかな。」
「回復職系は需要はものすごく高いけど、同時に転職クエストの難易度がめちゃくちゃ高いんだ……だから根気は必要だと思う。」
「そうなんだ。初心者の私には向いてなかったかな……。でも気長に頑張ってみるね。イザナくんは【大罪シリーズ】の攻略するんでしょ?」
「うん。この先の攻略で大事なイベントの1つだからな。」
【大罪シリーズ】とは七つの大罪の名を冠するボスモンスターとパーティーで挑み、レアアイテムを狙いながら連戦するといった形で行われるイベントだ。
○【傲慢】のプライダ
○【憤怒】のラーズ
○【強欲】のグリーディア
○【嫉妬】のエンヴィード
○【怠惰】のスロウリィ
○【色欲】のラスタ
○【暴食】のグラトニア
この7体の内どれかを選択して参加するのである。
「7体もいるとどれを選択するか悩んじゃうね。みんな挑むのバラバラになっちゃいそう。」
「いや、実はそうでもないよ。多分ほとんどのプレイヤーは《強欲のグリーディア》を選択するよ。」
かなでは不思議そうにどうして?と尋ねてきた。
「《強欲のグリーディア》のレアアイテムが取得経験値を1.5倍にしてくれる優れものなんだ。上位職業に転職できるレベル20から先は、レベリングにかなり苦労するからみんなが取っておこうって考えるんだよ。」
「経験値1.5倍?!それはすごいね。イザナくんはほんと何でも知ってるね。」
「たまたまだよ……あはは。」
オレは笑ってごまかした。
さて、かなでの言う通りオレは暫く、大罪シリーズにこもる予定だ。
ん?当然オレも《強欲のグリーディア》を選択するんだろって?
いや、オレが選択するのは……。
《傲慢のプライダ》だ。
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