概要
こっちの海ではずっと泳いでいられる
イルカを戦力として使う部隊に、反乱の疑いが掛けられた。情報部員のナギは調査のため、部隊の母艦となる基地船へと赴く。部隊の指揮官であり、反乱の首謀者と目されているのは、彼女と学生時代からの旧知の仲にある女性だった。
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- ★★★ Excellent!!!蒼い灯火に似た、静かな感傷を帯びた百合SF
叛乱の疑いをかけられたかつての憧れの先輩ルカに審判を下すため、主人公のナギは使命を帯びて彼女の駐在する基地船に乗り込みます。
飼い慣らされ武装したイルカたちとナギを出迎えたルカは、1匹のイルカが脱走したことを打ち明けて――
私情をこらえて、任務に従ってルカを疑いながらも、脳裏のどこかで「何かの間違いじゃないか」という可能性を探すナギの描写は、
決して直接的にその心情が描かれる(語られる)のではないからこそ、
だんだん彼女の押し殺した感情が、こちらの方まで浸透してくる感覚を味わえます。
果たして、ルカは裏切ったのか? だとしたらなぜ?
そんなシンプルな疑問の前にナギの目線と思考をなぞりつつ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!傑作
量子の海を泳ぐ訓練を受けた主人公のナギ。彼女が本部の戦術指令システムの「件」(くだん)から受けた任務は、海軍学校時代に寮で同室だった先輩のルカにかけられた反乱の嫌疑を調査すること。支援AIのクラウスと一緒に向かった先で待ち受けていたものとは……
全編を通して映像があざやかに浮かびます。量子コンピューターという本来ならただのデータの層に過ぎないものも、そこにダイブするナギとルカの姿をくっきりと見せてくれます。
映像が浮かぶのは仮想世界だけにとどまりません。現実世界のナギ、ルカ、そして兵器として使用される哀しいイルカたち。それがムダのない、それでいてすべてが後のストーリーにつながる洗練…続きを読む