女に全てを奪われた男、好感度を反転させるスキル【ラブインバース】でクズ女どもをハーレム屈服させる!

杜甫口(トホコウ)

1.賢者プリム

序章 僕の友達

 僕の名前はアルス・ジェイ・ダマンド。

 28歳独身。成績能力外見いずれも平均以下。

 いちおうダマンド家っていう地方領主の次男で、今は自分の領地の屋敷で独り暮らしをしてる。


 今はその2階テラスで、僕の唯一の『友達』と酒を飲んでいる最中だ。


「カァ~~~ッ!! やっぱ人んちの酒はうめえなああああああああああ!!!!!」


 僕の唯一の友人であるレオンが、ジョッキを机に叩きつけて叫んだ。


 レオンはケンカがめちゃくちゃ強くて、イケメンのプレイボーイ。

 村の女の子はみんなこいつの所有物オンナで、男は舎弟だった。その舎弟の中でも僕はレオンの大のお気に入り。なぜならレオンは顔も力も権力もあるけど金だけはない。だから金しかない僕の所にこうしていつも集りに来る。


 正直嫌なんだけど、報復が怖いので彼の頼みは断れない。

 裏じゃ魔族とも繋がってるって噂だ。


「――なあアルス。『勇者詐欺』って知ってるか?」

「勇者詐欺?」


 レオンの盃に酒を注ぎながら、僕は聞き返した。


「そう。なんでも突然美少女がやってきて、「あなたは勇者様です」なんつって一緒に旅に出ようとするんだ。で、そんときに家とか畑とか全部売らせてさ、後で金を持ち逃げするって話さ。最近流行ってるんだとよ」

「へ、へーえ?」


 その話を聞かされた時、僕の心臓が2回ぐらい飛び跳ねた。

 なぜなら心当たりがあったから。


「……そ、その美少女の顔とかって、知ってたりするの?」

「いや噂だからなあ。あでも、とんでもなく可愛いらしいぜ? ピンク髪をサイドテールにした女の子でさ、目はネコみたいでちょっと意地悪そうなの。で、ロリのくせに巨乳。俺は年上が好きなんだけど、それ以外はモロ好みでさ~! いやあ想像しただけでチンコギンッギンだぜ! 孕ましてやりてぇ!」


 そう言うとギャハハ! とレオンは笑い出した。


「……」


 女の子をちっとも大事にしない、いかにもクズらしい話をするレオンの前で僕は完全に沈黙していた。


 ピンク髪サイドテール、ネコみたいな目、ロリ巨乳。

 全て僕の『心当たり』と一緒だったからだ。


 でもあの子は僕に優しい。

 こないだ100ゴールドばかり貸したけど、それはたまたま金がなかったからだし。それにその前は夕食も奢ってくれた。

 だから、大丈夫。

 他の子はみんな詐欺だったけど、あの子だけは僕を愛してくれてる。


 僕は自分にそう言い聞かせた。


「――おいアルス。騙されんのは勝手だけど、金だけは失くすんじゃねえぞ? てめえは俺の財布ともだちなんだからよ!」


 するとそんな僕の考えを見越したのか、レオンが僕を睨みつけて言った。


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