第二十章 復讐開始7~プリム隷従~
「――ファルス閣下あああああああああああああああ!!!!!!!!」
その時、僕の前に誰かが飛び出してきた。
僕と同じく傷だらけだったその人物は風魔法の直撃を受けると、大柄な体ごと吹っ飛んで近くの大樹の幹にぶつかり、そこで花と散った。
暴風に吹かれる花のように、辺り一面に血の花弁を振りまいて倒れる。それは比喩ではなく、指や肩や腹部といったものが花弁大に切り刻まれて吹き飛んだのだ。
後に残されたのは、のたうつ赤黒い、もの。
「ぎょ、御者ああああああああああああああああああああッッッッ!!!?!?!?!」
それが誰なのか認識するよりも先に、僕は叫んでいた。
彼の元へと走る。
かつてはずっしりと重かったその体も今は軽い。肌もカサカサで、まるで剥がれた木の皮のようだった。生命力をまるで感じられない。
「ふぁ……るす……かっか……」
「御者!!?」
いいから、しゃべるな!
そう言おうとして、「ごはッ……!?」僕の口からも血が溢れた。気づけば僕の体もまた、真空の刃によってズタズタに切り裂かれていたのだ。
だがそんなものはどうでもいい!
御者さえ助かってくれるのなら!!
「わたしは……かっか、の……おやくにたて、ましたか……?」
「しゃべるな! しゃべるなよ!! 御者ぁ!? 体温がぁ!!?!?!!」
みるみる失われていく御者の体温。黒かったその目も、もはや焦点を合わせることができず、呼吸も浅い。ヒューヒュー言ってる!
そうだ、薬草!? 薬草は!?
どうしてこんな時だけ出ないんだよおおおおおおおお!?!?!?!
「ぁッ………………わたし、もッ……ふくしゅう、が……した」
その言葉途中で、御者の体から力が抜けてしまった。ピクリとも動かない。
レイプ、したかったんだよな。
御者は僕と同じでムッツリだもの。屋敷の庭にある女の子の像見て抜いたり……はさすがにしてないだろうけれど、でも善人のフリして頭の中はエロで一杯だった。だからアエラみたいなバカでチョロい皇女が大好きだったし、プリムみたいなヤらせてくれそうな女に遭うともうイチコロなんだ。つまり君には女が必要だったんだ。
だけど君は醜かった。誰からも愛されない程度に。
だから君は一生懸命に稼いで、一生懸命にモテようとして、そして、失敗した。
クソ女に出逢ってしまって、金や名誉や屋敷はもちろん命まで失ってしまったんだ。
こんなのって、許せるか?
自業自得と言われてしまえばそれまでかもしれない。
世の中は広いから、もっと不幸な男もいるなんて言われてしまうかもしれない。
だけど君は被害者なんだ。
怒っていい憎んでいい、君を追い込んだクソ女を。
それが許されないというならこの僕が……キミに代わってこの復讐を成し遂げる!!!
「ぷひむうううううううううううううううううッ!!!!!!!!!???」
「知らない知らない知らない! みんなお前らが悪い!!! あたし殺してない!!!!」
プツン。
プリムの無責任な一言に、僕の中のアルスが完全にブチ切れた。
目の前のこのメスだけは、完全に叩き潰さなければならない。
そう決意した瞬間、僕の一物が屹立する。
ズボン生地も構わず貫き、朝焼けの空に向かって高く高く直立する。
その先端からは
これは……そうか。
かつてエリスが言っていた、ラブインバースの本当の力が発動しようとしている。
「こ……この光は、なんですのおおおおお!?!?!」
「ふ、不思議なことが起こってるううううう!?!?!」
クソ女どもが同時に叫んだ。
「死ね!!! お前も死っねええええええええ!!!!!!」
叫んでプリムが杖を振った。途端に発生するのは炎。それも僕の視界を覆いつくすような巨大な炎の壁であった。同時に僕の体を【レビテーション】が掴む。逃さないためだ。
しかし。
「散れ」
僕が一言命じると、炎の壁も浮遊制動の風の力も両方が一気に消し飛んだ。
プリムが唖然としている。
「どっ……どうして!? あたしの魔法が打ち消されるなんて!?!?!?」
「――プリム。お前が相手にしているのは、僕一人じゃない」
言って僕は振り返った。
するとそこに、等しく一物を起たせた裸形の男たちの姿があった。
これはラブインバースの神聖液から漏れた白濁光によって導かれた、光の戦士たち。
今まで女に苦しめられてきた男たちの怨念が、形になったものだ。
その形相は憎しみに彩られている。
しかし、そんな彼らの体は明け方の陽光のように美しい。
それは僕の怒りこそが正しいのだと、世の中が証明してくれているかのようであった。
そう。
「これは……!?」
「これこそ女神エリスが僕に与えたラブインバース第4の能力、【
「ふ……ふざけてんじゃねえぞ!? どう考えたってあたしの方がッ……強いじゃんよおおおおお!!!!!!!」
プリムが再度、魔法を放つ。
雷や氷の刃や先ほどの火炎壁が幾度も襲い掛かるけれど、無意味。
最早魔力においても僕が勝っていた。
「大地が……!? 大地が震えておりますわあああああ!!? 世界がアイツのチンコにびびってるうううううう!?!!??!??!!!」
「あ、アエラ!! アホな事言ってないで手を貸してよ!!!」
プリムが傍らで震えているメス皇女に叫んだ。
「む、むりですわ……ッ! 体が……どうしてか……うごきませんの……ッ!!」
「当たり前だ。いくら鍛えようともお前らは本来虚弱なメスだからな。一物の前にはただ平伏して種乞いする事しかできない」
「……ッざけんなあああああああああああああ!!!!!!!!」
僕がはっきり現実を突きつけると、プリムが僕に向かって怒鳴り散らした。歯をむき出しにし、目ん玉をひん剥いて叫ぶその姿は、もはや美少女とは言えない顔である。御者の方がまだ愛嬌がある分可愛いと言えた。
「キモい!! キッモすぎなんだよてめえええええええ!!! あたしの脳髄にいいいいい!!! 虫唾がマッハで走りやがるううううううううう!!!!!!!」
だがその顔面崩壊具合に比例して、プリムの魔力も桁違いに上がってきていた。
現に女なら誰一人動けないはずのこの空間で、彼女は大きく杖を振りかざす。
「ホントはペットとして一生コキ使ってやるつもりだったけど、もういい!! 殺す!! ガチで消す!!! あたしの最大最強超絶爆裂魔法で、後ろのキモ男どもごと完全に消しッ飛ばしてやるううううううう!!!!!!」
そして、次の瞬間プリムの前に生み出されたものは、信じがたいものであった。
うっすらと白い雲の円柱のようなものが一つ、屋敷の庭を覆いつくすように建っている。
これは【
まさしく賢者でなければ使用できない禁忌中の禁忌魔法である。
自分と相手を閉じ込める固有結界を作る事で、その中でのみ、自ら設定した法則ルールで魔法が使えるというものだ。さすがに空間そのものが立脚している世界のルールを根本から捻じ曲げる事は不可能だが、可塑性や漸減性など、一切の物理法則を自由自在に捻じ曲げることができる。
それによって出来る事は多々ありすぎて一口には言えない。例えば魔法の効果が減退しない。打消し不可能、魔力消費極減などなど、あらゆる特典を自分の魔法に付け足すことができるのである。それも無尽蔵に。
つまりこの領域の中でなら、プリムは創世の女神とすら互角に戦えるのだ。
放たれただけで終わりの呪文である。
実際に僕の股間に集中していた魔力はみるみる落ち、光も失われていく。
「バカな……! 固有世界の発現なんてのは、神話の世界の話だ! 人間はもちろんエルフだって、いや魔族ですらもその領域に達したものなどいないはずだ!!」
少なくとも僕が図書館で学んだ本には、そう書いてあった。
「ううん。1人だけいたよ? 初代の魔王ちゃんがね。それで、その魔王ちゃんを倒したうちの1人が初代賢者ってわけ。自分よりザコい相手の能力なんか使えないわけがないっしょ?」
大分余裕が出てきたのか、プリムが僕を嘲笑う。
なんだその魔法は。
ふざけてんじゃねえぞクソ女。
そんな理由で女神にしかできないような魔法、いや神法を使いこなしてんじゃねえ。
やっぱりこいつは化け物だった。
アエラは天才だが、プリムは化け物。
人外の大鬼畜、大魔王だ。
――しかし。
僕は……
「消えろ!!!! 炎系最上級爆熱大魔法【
最高の環境における最大威力の魔法を、267掛け。
しかも魔法を放つのはプリムだけじゃない。
彼女の背後に立つ賢者の全員が、同じ魔法を唱えていた。
つまり267掛けの267連発である。
「いっちゃええええええええええええええッ!!!!!!!!!!」
この星がまるごと消し飛んでもおかしくない、そんな魔力の奔流が僕1人めがけて襲ってきた。
――だが。
「【
我が身は既にチンコである。チンコとは全てのメスを無条件屈服させる存在そのもの。よってメスに依るいかなる攻撃にも屈しない。
瞬間、僕の一物がギンギンにフル勃起した。立ち上がった一物がズボンを引き裂き、大量の神聖液をビュッビュビュッビュッビュと僕の右手に塗り着ける。すると右手が光り輝く。
今、僕の右手に宿っているのは世界で最も神聖で唯一絶対なる力『
『然り然り然り然り然り然りイイイイィッッ!!!
漲らせ欲望ッッ!!!
蹴散らせ不条理ッ!!!
あふれ出ろ神聖液イイイイイッ!!!
僕の右手よおおおッ!!!!
眼前のクソ女をおおおおおッ!!!!!
犯し尽くせええええええええええッ!!!!!!」
核の焦熱すらも覆す、僕の一物が怒張屹立しておっ勃ち叫んだ。
液に浸った右手を前に突き出し、星をも破壊する熱核破壊光線を押し返しながら僕は光の中を突き進んでいく。
そして、
「【
プリムの眼前に現れると、清らかな乙女の顔面を、液塗れの手でベッチャリと掴み上げた。プリムの澄ました賢者面が、「ぐっひゃああッ!?」ストッキングでも被せたみたいな馬面にひん曲がる。
「【
更に手の中の神聖液を一か所に爆縮、プリムの鼻っ面のど真ん中で爆発、四散させた。
次の瞬間、屋敷の庭に広がったのは一面の精化粧。蒼い空に撒き散らされた僕の
――その日。
商業都市ベルベジンの上空に吹き上がった僕の子供たちが、雪の降らないこの町を史上初めて真っ白に染めた。精子はどこまでも飛んでいき、上空高くを飛んでいたメスドラゴンを瞬間的に孕まして墜落させ、畑に散っては一時に穀物果実を実らし、海の果てまで飛んで行って無数の魚卵たちを無条件受精させて卵から飛び出させた。
ああ、きっと今年は豊作となるだろう。
僕は今この星を孕ませている。大気が赤々と性の光悦に染まっているのだ。そんな光景が、今だ股間からあふれ続ける神聖な光を通して僕の脳裏にありありと映っていた。
今一度眼前を見よう。先にプリムが放った【
「「「「ァンッ! ハンッ! アンッ! アンッ! アッハアアアアアンッ!!?!?!」」」」
その静寂を突き破るのは、女たちの嬌声。
プリムの顔面を完全に崩壊レイプした僕の背後では、同じように無数の光の男たちによる歴代賢者267人のレイプショーが行われていた。これもラブインバースの効果だろう、既に殆ど全員が屈服し、男に媚びて自ら腰を振るメス奴隷と化している。
ただ1人蒼髪ロングの賢者だけは最後まで抵抗していたが、それも3人の男たちに囲まれてはなすすべがない。じきに彼女も突き崩されて、喘ぎ出す。
「ぐっはああああああああああああああああああ!!!!!!!」
そんな賢者たちの痴態の中、プリムが両手で顔面を押さえ蹲って叫んだ。
その顔からは夜明けの太陽よりも眩しい白光が漏れだしている。
「なんかついたなんかついたなんかついたああああああッ!!?!? きもいいいい!! きもいいいいいいいいいッ!?!?!?! うごげええええええええっ!!?!?!?! あたしがあああああああああ!!!?!? あたじがあああああああ!?!? 塗り替えられてゆくううううううううううぶっ!?!?!?!??!」
やがてプリムが顔を押さえたまま芝生の上に両膝を突き、ゴロゴロ転がり出した。
「どっ……どうなったんですの……!?」
「神聖液に塗れた僕のこの手でつかまれた女は、無条件でメス奴隷になる。例外はない。今閃光となって飛び散っているのは、プリムの中にある嫌悪。僕に対する気持ちが完全に浄化されて僕専用のメス賢者に生まれ代わっているんだ」
膝をガクガク震わせて怯え惑うアエラの問いに答えながら、僕は背後に立つ男たちを見た。
彼らは一様に腕組みをし、ウム、と頷くと次々消えていく。
一体彼らは何者であったのだろうか。歴代のラブインバース所持者もしくは、僕と同じくクズ女によって搾取され、その命まで奪われてしまった不幸な男たちの魂だったのかもしれない。
僕は股間を突き出したまま、芝生の上に座り込んでこちらを向き、ビクビクしているプリムに近寄って行った。
「ふ……ファルス様あああああ!!!」
プリムが猫なで声を出して、僕の腰に縋り付いてくる。
そして僕の一物にほおずりしながら泣き出した。
戦闘の後もサラサラしたプリムのピンク色の髪を掴み上げる。
「賢者プリム。謝罪を聞かせろ」
「はいっ! はいいいいいいッ!!! ごめんなさい! 全部あたしのせいでした! なんでもしますあたし! ファルス様に一生忠誠誓います!!! どんなことでもします! だから……ッ!!! だから、どうか……ッ、ファルス様のお傍に置かせて……?」
「うっせぇ!!!!!!!」
問答無用でぶん殴る。
プリムの張りも艶もあるほっぺたが、「ぐごげぇっ!?」硬い拳の一撃に凹んだ。華奢な体のプリムはなす術もなく芝生に倒れ伏す。
「御者はどうなった!? バカなクソ賢者のせいで、とても大切な人間が1人死んでしまっただろうがッ!!!!」
「ごめんなさい……ごめんなさい……! ごめんなさい……!!」
プリムは両手を神聖液塗れの顔に当て、そのピンク髪を振り乱しながら僕に謝っている。
だが、この期に及んで謝罪になんの意味があるだろう。
謝罪を受けるに相応しい男は死んでしまったのである。
金も屋敷も領地も還ってくるだろうが、
僕が思い胸の痛みに溜息すら吐くことができず庭に佇んでいると、やがて、
「けぷっ……ごふごふッひくッ……おええええええッ!!!!」
どこからか、間の抜けた咳とげっぷとしゃっくり、そして嘔吐する音が同時に聞こえてきた。
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