女の子の部屋でドキドキゲーム時間 5
方向的には、俺の家とは真反対で、帰りは少し急がないといけないなと思う。
そして、
元気のいい
いや、別に特に面白いことはないんだが。
「もう、お母さん! 余計なこと聞かないでよ!」
葵はかわいらしく顔を少し赤らめて、恥ずかしそうにしている。
「な〜に? もしかして、そういう関係なの?」
「ぜ、全然そういうのじゃないよ。もう、お母さんは黙ってて」
「ただの友達です。あの、これ、つまらないものですが、どうぞ」
そう言って、来る前に買っておいた、三日月堂のクロワッサンを手渡す。
「あらあら、これは、ご丁寧に。どうも、ありがとう」
そう言うと、ほほ笑みながら、引っ込んでいった。「これ以上居ると、葵に怒られそうだから」と呟きながら。
それにしても、
たぶん、娘が男友達を連れてきたのは初めてのことだったのだろう。
そんなふうに思いながら、なにとはなしに
けど、次の瞬間にはいつもの葵に戻っている。
「えっと、
そう言って、俺を自分の部屋まで案内してくれる。
ただ、俺はこのときの
今も
少し悲しそうで、それでいてなにかを諦めたようなそんな顔。
とても、普段の
「えっと、ここが私の部屋だよ」
そんなことを思っているうちに、葵の部屋に着いたようだった。
俺はそんな
そして、
それは、俺の思ってる葵のイメージとよく一致する。まさに、解釈一致。
基本的に部屋の中は綺麗に片付けられており、白と淡いピンクを基調とした葵の部屋は、より綺麗にみえた。
まるで、葵の心のように。
女の子の部屋に初めて入ったこともあって、俺はちょっとした感動を覚える。
「……もう、悠くんってばっ! そんなに部屋の中をじろじろと見られると、恥ずかし、い……」
本当に恥ずかしいらしく、葵の発した言葉は
俺はそんな
これが、そういう人たちの気持ちなのかと、少し理解できた気がする。
けど、ここは素直に言うことにする。
「ご、ごめん! 女の子の部屋とか初めて入ったから、ちょっと物珍しかったもんで、さ……」
「私だって、男の子を部屋にあげるなんて初めてのことだって言ったじゃん! ……それで、どう? もしかして、子供っぽいとか思った?」
葵にそう言われ、確かに子供っぽいな、とも思う。
けど、そこも含めて、やっぱり
なんというか、俺から見た
「確かに、少し子供っぽいところもあると思うけど、全体的に可愛らしくて、
自分でも、言ってて少し恥ずかしくなってきて、顔が火照っているのがわかる。
「そっ、か……。私らしい、か……」葵はそう呟くと、「ちょっと待ってて!」と俺に言って、部屋を出ていってしまった。
俺は
そして、しばらくすると、
お菓子の近くには、俺の買ってきた三日月堂のクロワッサンが二つ、皿にのっている。
そして、
「ねえ、悠くん。これから、私と『ゲーム』しない?」
俺としては別に構わなかった。
というか、どっちかといったら、その方が助かる。
それに、やりたいことがあるわけでもない。
だから、俺は丁度いいと思い、葵のそんな提案を受けることにする。
「わかった。それで、なんのゲームをしようと思ってるんだ?」
「えっ? ほんとに、いいの? やったー! それじゃーねー……。マリヲカートとかどうかな? 私、このゲームは昔やってたけど、最近はやってないんだ。私、久しぶりにやるんだけど、勝てるかな……」
「マリヲカートか……」
正直、俺はかなり上手いほうだと思っている。
ただ、さすがに今回は、少し手加減をすることにしよう。
そうでもしないと、勝負にならないことも考えられる。
それに、なにか罰ゲームとかがあるわけでもないわけだし。
「それじゃ、マリヲカートをやろう」
俺がそう言ったら、葵の口から爆弾発言が投下された。
「ねえねえ、せっかくだし勝負しない? 勝った人が、負けた人に、なんでも命令できる、っていう罰ゲームつきでっ!」
勝負か。
しかも、勝った人が負けた人になんでも命令できるというもの。なんでもいうことは、本当になんでもいいのだろう。
こうなったら、手加減なんてしてやるわけにはいかない。
この勝負、負けられない。
「……わかった。その勝負を受ける」
葵への罪悪感を感じながらも、自分の中にある欲望を抑えることなんてできなかった。
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