俺と妹のラブラブ遊園地でーと? 4
今は、昼ごはんを食べ終え、遊園地をあとにしようとしていた。
さて、俺はどこで選択を間違えたのか。
とりあえず、俺の目の前にいる美少女こと、
それも、現在進行系でその気持ちは増してる気がする。
小一時間ほど前のこと──。
俺たちは昼食を食べるため、
ただ、その道すがらしりとりをすることになった。
物の指定のない、三文字のもの限定のしりとり。
「それじゃ、私の『わ』からで、私から」
「しりとりの『り』じゃなくてか?」
「なに?」
ギロリと俺を睨みつける目は、口答えなど言語道断と言わんばかりのまじの目だった。
「わ、わ、輪ゴム」
「む~、ムース」
「
「リグレ」
「りぐれ? ってなに」
ここまで、せっかくスムーズにきてたというのに。
ただ、俺も伝わるとは思ってないので説明することにする。
「リグレッションの略だ。リグレというんだよ」
「ふーん。わかった」
そして、結局、リグレはありと判断されたらしい。
「れ、れ、……連打」
「だ、だんて」
「はぁ……」
どこか呆れたようなため息が聞こえてきた。おい。その反応はやめろ。
てか、
こう、深く考えてる感じというか……。
「手損」
「えっ……? いや、それ『ん』付いてるけど」
「わかってるから。話しかけてこないで」
そこからお店まで、無言が続いた。
けど、そのときの
お店に着くと、店員さんに適当な席に案内された。
そして、メニューを開いてすぐ、何にするか決める。
事前に調べていた通りのメニューだったため、すんなりと食べるものが決まる。
「なあ、
「まだ、だけど……。それが? てか、初めて来たんだから、そんなすぐに決まるわけないでしょ」
チクッとくる物言いに心にグサッと刺さる。
まあ、ジェットコースターでのことが原因だろう。
「ねえ、お兄ちゃん。もちろんだと思うけど、
「えっ……?」
もともと、そのつもりではいたのだが、
そのせいで、少し驚いてしまう。
「もしかして、違うの?」
「いや、そのつもりだよ。ただ、意外だっただけ」
「なんで?」
「お兄ちゃんのくせにカッコつけてキモいって、言われるかと思ってた」
「私をなんだと思ってるの? キモいお兄ちゃん」
絶対にわざとキモいをつけただろ。
それにしても、
最近、似たような質問をされた。
俺は一体、
「なに考えこんでるの。そんな考えこむようなことじゃないでしょ」
「妹だと思ってる」
「……っ!」
まあ、そりゃそうだろう。予想外の回答がきたはずだから。
「そういうことじゃないでしょ……」
まあ、そりゃそうだよな。
それぐらい、わかってたさ。わかってて、敢えてそう答えた。
質問の答えを出せないから。
「決まった」
「えっ、なにが?」
「はあー。お昼ごはんを何にするのか決まった」
「あ、ああ」
店員さんを呼んで、注文する。
なんの変哲もない日常だ。
それから、料理が来るまでの間、終始無言が続いた。
口を開くことさえ、
といっても、料理がきたからといって、特段変わることはない。
ただ、俺の携帯が軽快な音ともに鳴り始めた。
「へえー、お兄ちゃんって、誰かとお出かけしてるってときなのに、マナーモードにもしてないんだ。マナーもないんだ」
「悪い。その、忘れてた」
嘘だ。忘れてたわけがない。
敢えて、マナーモードにしてなかったのだ。急なことにも対応ができるように。
「出たら? マナーもなってない、お兄ちゃん」
「本当に悪かった。ちょっと、出てくる」
そう言って、その場をあとにする。
そのときの
しばらくの電話を終え、席に戻ってきたときには、すでに
「悪い、遅くなった。少し厄介な話でな」
「ふ~ん。それで、誰から?」
「えっ!?」
「そんな驚くことじゃないでしょ。てか、私を放っておいて電話をしてきたんだから、内容ぐらい教えるのが道理でしょ。目の前に私がいて、あのときの約束を差し置いてもしなきゃいけないことだった、ということなんだから」
はあ。本当、正論過ぎてぐうの音も出ない。
いや、本当に正論か? まあ、俺が悪いのは確実だが……。
「それで、誰からだったの?」
「えっと、バイト先の先輩からだ」
「バイト先の? お兄ちゃんって、バイトなんてしてたっけ?」
「ああ、ちょっとな。それで、どうしても外せない用事があって、俺にシフトを代わってほしいらしいんだ」
「それで」
まるで、天使のような笑みを浮かべる
「その、代わろうかな、と……」
「はっ? 別に、お兄ちゃん以外にもいるでしょ」
「それが、俺以外に頼めるやつがいないらしくてな」
「はあ、わかった」
どこか呆れたようなため息とともに、すんなりと折れた
「そのかわり、最後に一つだけ」
「なに?」
「次はないから」
「はっ?」
「だから、次はないから」
「そ、それだけ?」
「いや、たとえアルバイトなんだとしても、仕事なんだから仕方ないでしょ。それに──」
「それに?」
「どうせ、もう引き受けたんでしょ」
「それは……」
まさしく、図星だった。
一言、相談してからにすべきなのか、実に悩んではいたのだが、引き受けてしまった。
なんとなく、断りづらかったのだ。
「早く食べたら?」
「えっ……?」
「いや、昼ごはん。お兄ちゃんの
すでに冷めきっているであろうオムハヤシは、半分ほど食べかけてある状態でまだ残っている。
「お兄ちゃん、これからアルバイトなんでしょ?」
「ああ、うん」
どうやら、なにか頼むらしい。
きっと、俺が半分約束を破ることへの、ささやかな罰みたいなものだろう。
そして、俺は食べかけのオムハヤシを食べながら、
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