二章 オオカミ少年と誠の侍 その11
ドランケンの町の何歩か手前の森の中でバルナバは座り込んでいた。ウルフィは横で気まずく黙っていた。もうすぐ夜が明ける。
「……綺麗な大人は存在しねえ。優しそうに見える大人も騙すのが得意な詐欺師だ。」
バルナバは急に話し始めた。ウルフィは黙っていた。
「……そう思っていた。だがあいつは違った。最後まで心が曇らなかった。折れなかった。クソ親父と違って負け惜しみや呪いなんかとかけ離れた言葉を死の直前に放ちやがった。イカれてやがる。」
バルナバはそう言うとウルフィの方を向いた。
「お前あいつを喰った時、おいしかった?」
「……うん。」
「災狼の片方が少なくともいい気分なら、まだマシだな。俺は確かにこの手で斬界の侍―狩山 五郎を殺した。だが妙な気分だ。説明もできねえ。……これも侍の力か?」
しばらくの間二人は黙っていた。
「あはははははは!」
バルナバは突然笑い出した。ウルフィはもちろん動揺する。
「お、おい。どうしたんだよ?」
「へへ、ウルフィ。真の悪は悪であり続けるために努力を怠っちゃいけねえ。今度強敵と遭遇した時は相手の体、そして心もバッキバキに折ろうぜ。」
ウルフィはお、おうと言いながらバルナバの中に飛び込むと、災狼は少年のまま家に向かって歩き出した。
バルナバ 〜fang of rebelion〜 宇宙の帝王 @sexyprince8
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