二章 オオカミ少年と誠の侍 その9
某の斬界の射程範囲から離れた? 某が再び接近して再び斬界をすれば、この世界を襲う悪夢の一つは消えるだろう。…歩こう。視界に見えたら、急接近して斬界だ。
あの少年の思想は危険だ。共生マムルを使いこなし、何らかの手で完全服従させている。人を殺めるのに一切抵抗がない。今宵仕留め損ねたら、取り返しのつかない悲劇がメリゴールを連鎖的に襲うだろう。獲物と同時にあの少年も…。
いや、ただの子供だ。某の娘と同じくらいの歳月だろうか? 頼れる大人がいなく、借り物の力で生まれた意味を探しているのだろう。選択は愚かだが、賢そうな少年だ。あんな“モノ”がなくても生きていけるだろう。あの少年が正しき王道の道を歩むことを某が祈れば、彼が他人を導く英雄になる可能性だってあるんだ。
某は子どもを、未来を信じる武士でありたい。死ぬ直前までそうでありたい。
ズズズズズズ!
音が近づいてくる? 一体…。
武術の達人は戦いの中で見えるものがとってもゆっくり動いているように見えることが稀にある。
なんとも不思議な光景。夢を見てるのか目の前の音の方向から木々が浮かび上がっては切り刻まれて、灰に。まずいこっちに向かって…木々が時差で上下に動かされて破壊されているのか? 横幅が広い災害で避けれ、刀で防っ…
「斬烈結か…」
ズバズバズバズバズバアアアン!
動きが見えることと体がそれに合わせて動かせるかは別問題である。
某は木々のように地面に叩きつけられたりもしなかったし宙にも舞わなかった。ただ某は体中から大量の赤が流れ出し、ただただ夜の森の中で無言でできたばっかの森の道の上で佇んでいた。刀は某の足元に横になっていた。
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