第12話 えぴろーぐ

猛禽類が語り終えると、部屋は沈黙が支配していた。


「……俺達の戦いはまだこれからだ、って、打ち切りエンドじゃ無いですかあ」


歌う存在のツッコミに、猛禽類は頭を振ると、


「いえいえ、大団円でございます」


怒らぬ存在がくすりと笑うと、


「まあまあ、良いじゃないか。実際、あの世界群では、唯一のハッピーエンドと言えると思うよ。何故あの世界を選んだのか、そこは疑問があるけれど」


虹色に光る珠が、怒らぬ存在の手の上で無数に踊る。


「そんなに酷い世界なのか?見せてく──」


「観測者殿おおおおおお?!観てはなりませんんん!!」


身を乗り出した観測者を、猛禽類が慌てて止める。


「まあ、序盤から打ち切りモードで、話のハードルは低くなりましたね」


歌う存在が、溜め息をつく。


「トウヤは、序盤は召喚時の制約で思考が制限。制約解除後は、のんびりスローライフを目指すも……流されるまま魔王軍に勝利。最後が可哀想だが、まあ自業自得か」


観測者が呟き。


「スノウは、砂漠の国の王女。アルカディの動向を探る為に潜入、仲間を助ける為に、貴族に従い……偶然が重なって、トウヤと会う。盗賊スキルに優れたスノウにとって、アルカディの警備はざる。貴族の不正の証拠や、召喚のエンゲージリングを盗み出し、主人公に渡した」


観測者が続け、猛禽類が頷く。


「フレアは魔導王国の王女。極めて強いが、性格は破綻。自分が興味無い者の命には、塵ほどの重みも感じない。当然、自国での人気も低い。アルカディに潜入するが、スノウに敗れ、主人公に従うと約束させられる。その後、主人公を気に入った為、主人公に従う。最後に、主人公から、自国の調停を頼まれるが、フレアの能力、人望、性格的に無理ゲー。フレアの、主人公達が戦えるうちに脅威を全て排除するのは、悪い手では無い」


「あの世界ではそうですねぇ。身の程知らずにも程があります。一罰百戒は有効でしょう」


猛禽類がしみじみと言う。


「イトニは、女神が天塩にかけて育てた巫女。が、甘やかされ過ぎて、女神に対する信心は無い。母親や祖母程度の認識か。女神にとって、魔王の排除は責務。女神は人格的にもまともなオリオンとの協力を画策するが、イトニはそれを察知。女神への反抗と、アルカディへの嫌悪から、オリオンの暗殺を図る。フレアに阻止され、オリオン暗殺は断念。トウヤを気に入り、嫌がっていた筈の巫女として、トウヤを導く事を決意」


怒らぬ存在が続ける。


「女神。世界の創造者にして、管理者。管理案件、魔王の発生により、対処を迫られる。頼りにしていたアベルとカインの遺児、イトニを天塩にかけて育てる。異世界召喚者達の成長も芳しくなく、オリオンを利用して事態の解決をはかろうとする。世界救済拒否しまくっていた問題児たちが、都合良くトウヤに集まっていたので、渡りに舟とトウヤを利用。魔王の降伏により、管理案件が無くなった為、有給消化のバカンスに出かける」


「語られていない設定が混じっているんだが……」


観測者が呆れた様に言う。


「それより、アベルとカインの関係について詳しく」


歌う存在がよく分からない箇所に喰い付く。


「まあ、こうやって、誰かが夜話を騙り、後は適当に感想を述べる感じでやっていこうと思います」


猛禽類が一同を見回し、語り、


「なるほど。まあ、うたは私の得意分野です。悪くは無い趣向ですね」


歌う存在が首肯する。


「さテ。そろそろ夜が明ける。今夜はこのあたりでお開きダナ」


定まらぬ存在の言葉に、


「この凍り付いた世界で星が動く筈が無いのですが。わざわざ動かしたんですね」


歌う存在が半眼で呻いた。


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あとがき、みたいなもので解説入れようと思っているのですが、

うまくいかないですね。

しばらくは練習です。

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