第9話 蛍鉱ダンジョン

さて、そろそろ……


「クリス、大丈夫なの?得体のしれない娘よね……もし良ければ、私と一緒に組む?」


ミレアが心配そうに言う。


うお、相当心配されているな。

普段では考えられないような選択肢が来た。

勿論魅力的ではあるのだが……

残念ながら、その選択肢は駄目だ。


勿論ルルイエに悪い、というのもあるが。

そもそも、ミレアの力を借りて強くなったとして、ミレアから見直されるかどうか……そんなの、無理に決まっている。

国に認められると共に、ミレアから頼れる男として見て貰う必要があるのだ。

ただの幼馴染から、異性としての変化……

厳しい道のりだが……俺は……やり遂げてみせる。


「有り難う、ミレア。でも、大丈夫。ルルイエは信用できる。俺はルルイエとなら、どこまでも行けるよ」


「ふーん……そう」


うわ、超不安って顔だ。

凄く温度が低い声で頷かれた。


「そろそろ行くよ。ルルイエを待たせてしまっている」


「まあ、無理はしんときや」


ラクチェの気遣いに、


「大丈夫だよ」


そう返す。

今日は、俺的には初挑戦となる蛍鉱ダンジョンへの挑戦……やる気は十分だ。


--


コツリ……


蛍鉱ダンジョン。

壁に緑白に光る石が散りばめられていて……幻想的だ。


「綺麗だね」


「先輩ほどじゃ無いですよ」


「それ男のセリフ?!」


「私の顔は隠れているので言い辛いと思いまして。代わりに言ってみました」


「……まあ、確かに顔は分からないが……」


「ちなみに、残念ながら、顔を見せても言って貰えません。かなりがっかり系の顔です……もっとも、先輩にはミレア様以外の顔は、評価に値しないでしょうけど」


「流石に、一般論的な評価はできるよ」


まあ、他人に対して醜いという評価もしないし、美しいという評価もしない。

ミレアに対する評価と、他が異なる……それは事実だ。


「先輩と一緒にいた方々、ミレア様以外の方も凄い美人でしたが、どう評価されますか?」


え。


「そうなのか……?パオラとラクチェは平均的だと思うが……」


「やはり、ミレア様以外には興味が無さそうですね」


ひゅ


ルルイエが杖を一振り。

放った光が、クリスタルゴーレムをズタズタにする。


ゴッ


俺が放った手斧がゴーレムを粉砕。


「令呪宣言無しでは、倒しきれないですね」


ルルイエが呻く。


光弾バレット


ガゴン


ルルイエが無詠唱、令呪のみで放った魔法が、クリスタルゴーレムを粉砕した。


「令呪があれば何とかなりますね」


「こいつら、レベル70超えている筈だが良くやるな。クラスチェンジもまだなのに」


レベル50のキャップ。

これを外す事をクラスチェンジという。

そして、レベルを51にすると、飛躍的にステータスが上がる。

尚、キャップ状態で経験値を貯めまくると、このボーナスが大きくなるという噂が有るが、定かではない。

俺は50になったら速攻でキャップ外したしな。


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観「メインヒロイン、憐れな……まあ、ルルイエにその気は無さそうだから安心か」

歌「ルルイエにとって主人公は、戦闘のパートナーとしては頼りにしていますが、それ以上でもそれ以下でもないですねえ」

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