第7話 創世の七武器

食堂にて。


1人きりで座って、パンを1つだけ、ちまちまと食べている……そんなルルイエを見つける。

ツレに断ってから、ルルイエの隣に行き、


「隣良いか?」


声を掛ける。


「駄目です」


……PTはPT、普段は話しかけるな、という訳か……

できれば、普段から交流を持ちたいんだが。


ルルイエは、困った様に、


「今は駄目です……先輩方の目が怖いので……私はまだ死にたくありません」


え。

先輩方?


振り返るが、特に怖い目をした者はいない。

そもそも、食堂でそんな殺気立つ様な真似をする奴が居るわけが無い。

……周りの目を気にしすぎて、誤解してしまっているのだろう。


「ルルイエは、もう少し警戒を減らすべきだと思う。別に、周りがみんな敵って訳では無いんだ」


まあ、ミレアや、ロマン王女様とかは、本当に暗殺の危険が有るのだけど。

本当に殺気を放つ者がいたら、俺が取り抑えるしな。


「先輩はもっと自分を自覚すべきだと思います。死者が出てからでは遅いですよ」


いや、俺は自分の身の程はわきまえているよ?


ルルイエは、観念した様に、座り直す。

俺が横に座り、


「先輩の事、調べさせて貰いました……先輩、かなり有名な方だったのですね」


「俺自身が有名な訳でもないけどな」


ミレアと仲が良いこと、そしてそのミレアの友人達──特殊学科の上位陣──と知り合いな事……

加えて、ベリルが何故か俺をライバル扱いする事。

そのせいで、俺を勘違いする奴が出てしまうのだ。


「戦士学科のトップって、勇者ベリルさんなのですね。先輩が勝てないのも納得です」


ベリルは、そもそもの、スキルの強力さが桁違いなのだ。

加えて、各種魔法を操り……そして、王家より賜った、創世の七武器オリジンの1つ、片手剣を所持する。

毎回、軽くあしらわれて終わり。


ちなみに、学年トップはロマン王女様。

操る創世の七武器オリジンは、両手剣。


次席はミレア。

操る創世の七武器オリジンは、片手槍。


ベリルは、それに次ぐ3番目だ。

一応俺はその次、という事になっている。

多分、4番目以降は適当なんだと思う。

3番目と4番目の間に超えられない壁があるからな。


「本当に私で良かったのですか?」


「ルルイエ、俺はキミが良いんだ。頼む、俺と一緒に歩んで欲しい」


「……先輩が良いのでしたら」


ちなみに、ルルイエが本来の力、神秘魔法を使えば、学校でも上位を目指せると思う。

1年では、間違い無くトップだろうな。

使わないから最下位だけど。


それより。


「ルルイエ、その食事はどうしたんだ?ちゃんと食べないと身体に悪いぞ」


パン1個って。


「……節約しているんです。なるべく安く済ませたい」


「いや、お金は潤沢にあるだろ。少なくとも昼食代をケチる必要は無い筈だ」


昨日の探索結果を除いても、中級ダンジョンでソロをする実力があるのなら、レア素材やレアアイテムを狙い放題だろう。

SR武器を入手しても、特に興奮してなかったし。


きゅるる……


ルルイエのお腹が鳴る。

……あのなあ。


「ルルイエ、ちゃんとお昼は食べろ。そうでなければ」


「……どうすると言うのですか?」


「これから毎日、俺がルルイエを食事に誘う。それで、定食を奢る」


「……自分で買って食べます。なので勘弁して下さい」


俺と食事するのがそんなに嫌かあああああ。


「先輩のファンに殺されますので」


「俺にファンなんていねえよ」


毎回無様に負けてるだけだからな。


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猛「ホーホー、ファンクラブがないとは、主人公かわいそうですね。是非応援してあげなければ」

歌「ミレアが睨みをきかせているので、公にファン活動はできないですね。まだベリルのファンの方が安全です」

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