第6話 別に倒してしまっても良いのだろう?

「そうだな。ルルイエは仲間だし……伝えておこう。俺が高みを目指している理由は、ミレアに釣り合う男になる為だ。今は、幼馴染として友人ではあるが……婚姻の相手としては、欄外だ。実力……そして地位……俺には、それが必要だ」


「勇者ベリルがいますからね……」


勇者ベリル。

三軍神の1人。

嫌いでは無いが……何故か戦士科に居座っている。

まあ、特殊学科に転科して、ミレアと同じクラスになられても困るんだけど。


「だから、俺は強くなる。もっともっとレベルを上げて……」


まあ、ベリルの奴も上級ダンジョンに自PT率いて潜っているから……差が埋まる訳では無いんだけど。


「ああいうのも倒せるように、ですか?」


ルルイエが指し示した先。

おおい。


「……ミノタウロスだと?」


上級ダンジョンに出現する魔物。

決して中級ダンジョンにいて良い存在ではない。

おかしなダンジョンだと思ったが……ここまで異常とは。


「先輩、脱出しましょうか。流石にアレはきついでしょう」


「いや、いけると思う。援護を頼む」


「え」


たん


駆け出す。


こちらに注意を向ける前に。

その首を。


ガッ


バキッ


咄嗟に反応されてしまった。

恐ろしい速度で斧を動かし……俺の斧を受け止め……そして、酷使に耐えかねて斧が折れた。


剣や槍と違い、業物の斧など滅多にない。

俺も頑張って探してはいるが……上級の魔物に通用するような斧は、見つかっていない。

一応、知り合いに打って貰った一級品だったんだが……

柄の部分で折れ、弾け飛ぶ。

くそ……


ひゅんひゅん


手斧を出し、投擲。

牽制しつつ、距離を取る。


「先輩……浄化レスト!」


斧の時間がまき戻った様に、くっつく!

すげー。


固定フィクス!」


斧が蒼白い光を纏う。


「斧を固定化しました。少しは丈夫になった筈です」


「本当か!有り難う」


再び駆け……


ゴウッ


ミノタウロスが斧を振り上げ、迎えうつ!


ザンッ


ミノタウロスの斧ごと、ミノタウロスを切り裂いた。

うお……少し……?


ズン


ミノタウロスが崩れる。


「勝ったな……ルルイエ、キミのお陰だよ」


ソロでは大分苦しめられた筈だが。

2人いればここまで楽なのか。


「私は斧を強化しただけです……先輩が凄いんです。丈夫な斧さえあれば、楽になるんでしょうけど……無いでしょうね」


「斧だもんなあ……」


剣や槍なら、伝説の鍛冶士の作品やら、遺跡発掘品やら……色々あるんだが。


「おっと、宝箱だ」


「さて、ミノタウロスを倒したのですから……少しは期待させて欲しいですね。所詮中級ダンジョンでしょうけど」


ぱかり


中から出てきたのは……


サンブレード

 レア度:SR

 種別:片手剣

 属性:炎

 能力:

 ・自己修復

 ・光の海


ちくしょう。

強そうじゃねーか。


--


観「強力なレア武器ゲット」

歌「使えないですけどねー」

観「ミノタウロス、自分は斧を使っておいて、守護する宝物は……ミノタウロスの使っていた斧は再利用できないのか?」

歌「謎の力で消えますね、残念ながら」

観「憐れ……」

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