異世界転生したら、女の子を与えられました

第1話 ぷろろーぐ

キイイイ


古びた鉄の扉が開け放たれ。

歌う存在が入ってくる。


半眼で告げる。


「宣言通り場所を変えるのは良いのですが。場所を教える手間を省くのは、どういうつもりかしら?」


猛禽類は、目を見開くと、


「これはこれは、不可解な事を。あなた方が、たかだか、正しい場所を引き当てるという事に失敗するなど、有り得ない筈ですが」


「そういう話では無いでしょう。礼儀の問題です。分かっていて言ってますよね?」


「はっ、これは失礼致しました。歌う存在様への連絡には、場所を含める様に致します」


「全員に対して、です」


殺気が膨れ上がる。


くわばらくわばら……


猛禽類が呟く。


「そもそも、俺の所に来たメールには、『店』の写真が添付されていただろう?」


観測者の言葉に、歌う存在が、


「メールって……また、種世界オリジンのおもちゃですか。あなたも好きですよね」


困惑した様に呟く。


「我輩もメール受信機持ってるゼ?」


定まらぬ存在が、52型CRTと、フルタワーのデスクトップを見せる。


「私にも、電子メールが来たよ。このペットがメールを届けてくれるソフトが楽しいから、キミも入れると良い」


怒らぬ存在の指輪から、ホログラムスクリーンが投影される。


「何で……時代がばらばらなんですかあああ……!」


歌う存在が叫ぶ。


「さてさて、かんわきゅーだい。今日は初めての集いですので、私が話者を努めます。適当に腰掛けて下さいね」


猛禽類の宣言に、


「この『店』には椅子が無いようですが」


歌う存在が指摘、


「ところどころ、空間が非連続になっているから、意外と腰掛ける淀み有るゼ?」


「空気を圧縮して椅子を作った方がマシですわ!」


定まらぬ存在の指摘に、歌う存在がツッコミを入れる。


猛禽類は、聞こえなかったふりをすると、話を続ける。


「さあさ、今宵騙りますは、主人公男と、可愛い女の子達のイチャラブモノ。異世界転移したら、部屋に仕える女性が用意されていた……夜の仕事はお任せ下さい……そんな夢の様なお話です」


「それは、面白そうに聞こえないのですが……」


歌う存在が、困惑した様に告げた。


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