概要
瞳の魔女の家からほど近い木に私は止まっている。出窓に置かれた花瓶越しに、宵色のローブに踝まで包まれて安楽椅子に揺られる彼女の姿が見える。
見上げれば銀河が広がっている。これらはすべて、太陽の残滓。太陽はここに辿り着く前に粉々に砕け散り星となり空に銀河を作り上げる。それがこの森に吸い込まれていくのでいつからかここは、銀色が帰る森と呼ばれるようになっていた。
一生暗がりの、しかし平穏な日常に、太陽のような少女——シャシエがやってきて……。
【願望ED】『プリズムの夜』/ACIDMAN
〘製作協力:瞳・聖願心理〙
Twitter上でのやり取りから、この話を考えました。
また、キャッチコピー&本文の瞳の魔女のセ
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- ★★★ Excellent!!!冒頭から引きずり込まれてゆく……
この面白さは何だろう。
掴みどころがないのだけれど、同時に掴みどころだらけなのだ。
冒頭の面白さに気づいた人も多いと思う。
梟視点なのだけれど、彼は実によく見ている。
そして散りばめられている謎。
瞳の魔女、太陽の残滓、銀色がかえる森……
全てが何だろうとのめり込んでいくように言葉が並んで行く。
もうこの時点で心を掴まれてしまい、先を知りたくなるのだ。
村人達は瞳の魔女にお願い事をしにやってくるのだけど、いつも文房具にかけられてしまう。
なぜに文房具?
そこに何の意味があるのか知りたくなる。
でもある少女だけは文房具に変えられる事なく弟子になる。
なぜ彼女だけは文房具に変えられなか…続きを読む - ★★★ Excellent!!!世界観の魔術師が紡ぐ、美しい《御伽噺話》
名前に縛られない梟と《瞳の魔女》太陽の残滓が浮遊し続ける銀河の空とそれらの輝きが吸いこまれていく《銀色が帰る森》……魔女によって文房具に変えられるひとびと、無自覚の《罪悪》……
これほどまでにどきどきする造語の数々を産みだし、なおかつ物語に落としこめるなんて――この物語の著者は間違いなく、世界観の魔術師です。
破天荒な設定の数々がただのギミックではなく、寓意と読者にたいする問い掛けを含んで機能しているのが、ほんとうに凄い。圧巻です。
お伽噺のようなふんいきに哲学の馨りを漂わせた素晴らしい世界観に、呼吸をするのも惜しいほどに読みふけってしまいました。
ペシミスティックでありながら何処か可愛…続きを読む - ★★★ Excellent!!!こんな世界でも、君と二人ならきっと希望の光を見つけることができる。
「私は梟である。名前は、ない方が自由に羽ばたけるだろうと瞳の魔女が言っていた。」
この冒頭に、早くも心をつかまれた。
夏目漱石の『吾輩は猫である』の冒頭のオマージュだが、アレンジの仕方がとてもおしゃれで格好いい。オマージュでありながら、作者自身の個性が強く表れている。
読み進めていくと、このフレーズが変化しながら何度か出てくる。
そこから物語の動きを読み取ることができて面白い。
また、梟(ふくろう)がストーリーテラーの役割をすることで童話のような世界観を見事に表現している。
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この世界では、人の罪悪が歌によって星になり、星が集まって太陽になる。
太陽は街を照…続きを読む