冒頭から引きずり込まれてゆく……
- ★★★ Excellent!!!
この面白さは何だろう。
掴みどころがないのだけれど、同時に掴みどころだらけなのだ。
冒頭の面白さに気づいた人も多いと思う。
梟視点なのだけれど、彼は実によく見ている。
そして散りばめられている謎。
瞳の魔女、太陽の残滓、銀色がかえる森……
全てが何だろうとのめり込んでいくように言葉が並んで行く。
もうこの時点で心を掴まれてしまい、先を知りたくなるのだ。
村人達は瞳の魔女にお願い事をしにやってくるのだけど、いつも文房具にかけられてしまう。
なぜに文房具?
そこに何の意味があるのか知りたくなる。
でもある少女だけは文房具に変えられる事なく弟子になる。
なぜ彼女だけは文房具に変えられなかったのか……ここにも意味がある。
一つ一つの伏線を丁寧に置いてあり、読み進めると理由がわかる。
でもその理由もストレートにわかるものと考えるものがあって、そのために二度三度読みたくなるのだ。
こうかもしれないと自分なりに理由をつけて再度読むと……また違う印象になる。
こんなことってあるんだと自分の中でも驚いたり。
面白さを感じる物語であり、スッキリする物語であり、深い物語でもある。
読む人それぞれの感じ方が違うというのもまた面白いところで……
同じ人が読んでも、その時の心のありようで別なものが見えてくる気がする。
これは凄い!本当にそう思った。
物語の中にちゃんと哲学もあって、感じ取ると見えてくるものが更に深くなる気がしている。
いい物語を読んだ。
これもまた、二度三度よむのだろうな。