こんな素敵な話になると誰が想像しただろう

きっかけは詩一さんの「イラストにできるような写真はありませんか?」の一言でした。
その後の展開は皆さんもご存知の通りなのですが、絵葉書の住所に心が躍ってしまったのは言うまでもなく。
たったの一言で想像力が膨らんでいく経験は、この時久しぶりに感じたものでした。

そして今見てもやっぱりこのユニークさが詩一さんなのだと思うのです。

私は「書こうよ」と提案しただけ、それをこれだけの作品に仕上げたのはやはり彼の成せる技です。


主人公は心を抉られるような辛い出来事を経験しながら、それでも日常を生きていかなくてはならず、自分で納得のできる心の落とし所を求めていたのではないかと思うのです。

その答えは……やはり自分の中にあった。
一度はとことん落ちてしまった自分自身の心。
それでも立ち上がる力を持つには、美辞麗句を削ぎ落とした、飾り気のない言葉だった。
実際そういうものなのかもしれません。
どんなに何を言われても響かなかったことも、あるひと言で心が満たされることはある。

主人公は、これからも寂しい思いをしても生きていかなければいけない。
でも彼女はきっと前を向いて歩いていくのではないでしょうか。

この物語は未来に繋がる。
それを感じさせてくれるようなお話でした。


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