第15話:天才高校生は王都へ行くようです

夏の朝6時ごろ、それは太陽がこの世界を照らす時刻だ。そして人が起きて行動を開始する時刻でもある。


そんな例に漏れることなくケンタは目を覚ました。


窓を開け陽の光を浴びて体をそして脳を起こす。


ケンタの前世からの習慣のひとつだ。


「朝か、今日もいい天気だ。」



十分に陽の光を浴びた後、ケンタは食堂へ向かった。


食堂へ行くとそこには笑いながらケンタを迎えたジャクソンが目に入った。



「朝から元気だな。」


「それはもちろんだ!今日はお前が出て行く日だからな!ふははははっ」


「アナタ?そんなこと言っていると文書手伝いませんよ?もちろんそれを分かって言ってますよね?」


そうニコニコと笑いながら言うのはサーシャだった。だがニコニコと笑っているのに目は笑っていなかった。


単純に怖い。


「ケンタさん?今何か考えてました?」


勘が鋭い、そう思ったケンタだった。


「ええ、笑っているお顔が美しいと思って少し見惚れていました。」


そう言って躱すケンタ。


「ふふっ、そうですか。」


そんな話を聞いていたジャクソンは


「お、お前っ!?サーシャにも手を出すつもりか?」


「いえ、思った事を口にしただけです。」


そう答えるケンタは堂々としていた。


ケンタのそんな姿を見ていたリディアはというと、


「ケンタさん、素敵です。」


そう顔を紅くして言っていた。




いや~朝から飛ばしてるねぇ~と聞こえたのは気のせいだろうか。うん、気のせいだ。



そんなたわいもない会話を楽しんだあと、ケンタは料理を食べる。


そうして、話を切り出す。



「この食事が終わったら、この屋敷を出て、王都に向かいたい。」


リディアは


「そ、そんなっ。ケンタさんがどこかへ行ってしまうなんてっ。」


サーシャは


「あらー、お別れかしら~。残念ねー。でも半年後はまた会えるんだしいいんじゃない、リディアちゃん。待つことも女の務めよ。」


最後の方はケンタには聞こえなかったが、

リディアは


「もうっ、お母様ったら!で、でもそうですよね、うんそうよ!ケンタさん、待ってますね!」


「ああ、待っていてくれ。」



そんな会話が耳に入っていないのか、ジャクソンは震えながらご飯を食べていた。



何に怯えているのだろうか?その真相は誰も知らない。






そうしてご飯を食べ終えた後、ケンタ達は屋敷の門にいた。


そう、王都へ出発するのだ。


「短い間だったがお世話になった。ありがとう。」


「短い間だったが久しぶりに楽しい時間を過ごせた。色々あったがね、色々。」



「ケンタさんがいなくなると寂しくなりますね。半年後、リディアとの学院の件よろしくお願いします。」


「ま、待っていますから!」


「皆さん本当にお世話になりました。それでは行ってきます。」



そうしてケンタはエアフルトの南の門を目指し出て行った。





ケンタは歩いている途中、これからの予定を立てていた。



とりあえずギルドへ向かう。その後オークの串焼きを買って、門を出る。門を出る際に兵士にここから一番近い街を教えてもらう。


王都まで5日だからどこかで泊まる必要があるだろう。



そうしてケンタはギルドへ向かった。


受付にはカナがいた。3日ぶりだろうか?

随分と会っていない気がした。


「ケンタさん!お久しぶりです!今日はどういったご用件で?」


「久しぶりだな。今日、俺は王都に向かう。その前にお世話になったギルドに言いにきたと言うわけだ。」


「えっ?ケンタさん、王都に行くんですか?少しというかすごく寂しいですね。」


「すまないな、でも変えられないんだ。」


「そうですか、戻ってこないんですね。」


そうしてカナは泣きそうになっていた。


「ん?いや、戻ってくるぞ?半年後に。」


それを聞いたカナは笑顔になった。


女性はよくわからないと思ったケンタだった。


「それでは、その時までお待ちしていますね。」


そんな会話をした後ケンタはギルドを出た。



ギルドを出た後、オークの串焼きに向かい、王都へ行くと言うと喜んでくれた。

串焼きをタダでもらってしまった。



その後、門の兵士に近い街はどこだと聞くと

フェーレンという街のようだ。そしてギルドカードを見せてエアフルトの街を後にした。



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