第26話:天才高校生は人気者になるようです

朝、それは小鳥のさえずりを聴く優雅な朝を想像するだろう。

 しかし、一人の少年はそんな朝は迎えられなかった。






 さっきから外がガヤガヤとうるさい。


「……朝か。王都の朝はこんなにうるさいのか?」


 そう言って俺はベッドから体を起こす。俺は朝日を拝めるために窓を開けた。


 外から大きな声が聞こえてきた。


「まさかあの人がケンタ様なのか?」


「そんなのわかんないわよ。でもここに泊まってるらしいわ」


「しっかし驚いたよ。まさか平民から鳳凰勲章受賞者が出るなんてな」


「ああ、今日の新聞の号外で見たときはびっくりしたよ」




 そんな声が外から聞こえてきて俺は一瞬、何を言っているか理解できなかった。


 勲章? 号外?


 そうやって言葉の意味を考えていくうちに分かってきた。


「まさか昨日の今日でこんなに噂されるものなのか? 顔は反応を見た限り割れてないようだけど、名前がバレてるからこれじゃ何もできない。というかあの人達はなんでここに泊まってるって分かったんだ?」


 俺は今、ニコラスのお金で昨日泊まっていた宿をそのまま借りることができた。期間は1週間までで、その後俺はエアフルト領に帰ることになっている。泊まっている間、俺は何もしないわけにはいかないので王都のギルド本部に行きクエストを受注したいと思っている。






 そんなわけで数時間後、俺は王都のギルド本部の受付で受付嬢と話していたのだが……。


「あのっ! あなたがケンタさんですね? そのバッチは鳳凰勲章の証!」


 と、前のめりになって話してくる。


 これではラチがあかないと思い強引に話を進める。


「クエストを受けにきた」


「はっ、はいっ! ギルドカードを貸してくださいっ!」


 そう言われて俺はギルドカードを渡した。黄金に輝く俺のギルドカードを見て受付嬢は驚愕する。


「えっ? Aランクの方だったのですかっ!?」


「まあ、色々あってな」


「さ、さすがですね」


受付嬢はそう言って続ける。


「Aランク冒険者となると、現在あるクエストならばドラゴン偵察任務があります。先日王都上空でドラゴンの飛行が確認されたのです。ドラゴンはおそらくですが王都の東にあるトルプスの森の深部にいると推測されています。このクエスト受けられますか?」


 ドラゴンか。総司と一緒にやったゲームでは最強のモンスターだったのだがこの世界ではどんな立ち位置なんだろうか?


「その前に聞きたいことがある。ドラゴンとはどのような立ち位置の存在なのか教えてくれ」


「わ、分かりました。ドラゴンは魔物の中で最高クラスの強さを持っている存在です。今回は偵察クエストなので戦闘などはありません。どうですか? 分かりましたか?」


「だいたいわかった。このクエスト受けたいと思う」


「分かりました」


 そうして数分後、ギルドカードを返してもらいクエスト受注が完了した。


「それではよい結果をお待ちしております」



 そうして俺はギルドを出てトルプスの森がある東へ向かった。

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